JRA【クイーンC(G3)展望】「ドゥラメンテ産駒」2頭の争い濃厚!? プレサージュリフト魅力も……、ソネットフレーズ回避で大激戦に
12日(土)、東京競馬場では3歳牝馬によるマイル重賞・クイーンC(G3)が行われる。
昨秋のデイリー杯2歳S(G2)でセリフォスの2着に好走したソネットフレーズが主役候補と目されていたが脚部不安のため回避。一転、大混戦の様相を呈している。
ソネットフレーズに代わって主役候補に名乗りを上げるのはドゥラメンテ産駒の2頭だ。
半姉がG1馬のアドマイヤリードというベルクレスタ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)は、デビュー戦でセリフォスと対戦。1馬身半差で完敗を喫したが、続く2戦目で順当に勝ち上がった。
3戦目のアルテミスS(G3)では、のちにG1馬に輝いたサークルオブライフにクビ差の2着と好走。阪神JF(G1)でも上位人気の一角、5番人気に支持された。
しかし、レースでは18頭立ての16番枠という外枠が仇となる。序盤は中団後方を追走したが、徐々にポジションを上げていくと、好位で4コーナーへ。直線でもしぶとく脚を伸ばし見せ場をつくったが、最後は脚が止まり6着に敗れた。
レース後、松山弘平騎手は「うまく壁をつくれずに苦しい形でしたが、力は見せてくれています。内で脚をためる競馬が良かった」とコメント。脚をためる位置を取れていれば馬券圏内はあったか。
前回の競馬を踏まえても、今回は前に馬を置いて脚をためたい。引き続き騎乗する松山騎手の手綱さばきにも注目だ。
もう1頭のドゥラメンテ産駒、スターズオンアース(牝3歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)は、祖母に欧米G1・6勝のスタセリタ、叔母にG1・2勝のソウルスターリングがいる良血馬だ。
ベルクレスタと同じくすでにキャリアは4戦と豊富。成績は「1-2-1-0」と常に上位争いに加わり、実力馬相手に渡り合ってきた。
今回と同コースで行われた2走前の赤松賞(1勝クラス)は1番人気に支持されるも、0秒5差の3着に完敗した。そのレースを勝ったのが阪神JFで1番人気に支持されたナミュールだった。
前走は中山マイル重賞のフェアリーS(G3)に出走。ふたたび1番人気に支持されたが、ゴール前でライラックの強襲に遭い、クビ差の2着。直線で一瞬前が詰まったことに加え、初の右回りで最後は内にもたれたことも響いたか。
デビューから石橋脩騎手が騎乗してきたが、今回は横山武史騎手に乗り替わり。新たなパートナーを背に、左回りで改めて重賞制覇を狙う。
ドゥラメンテ産駒の2頭の間に割って入るとすれば、ハーツクライ産駒のスタティスティクス(牝3歳、栗東・石坂公一厩舎)だろう。
昨夏のデビュー戦は18頭立ての14着に大敗。さらに2戦目の未勝利戦でも5着と勝ち上がりすることさえ危ぶまれた。ところが、一息入れて3か月ぶりの実戦となった3戦目で勝利すると、果敢に阪神JFに挑戦した。
結果はサークルオブライフに0秒6差の8着。向正面で大きな不利があり、後方2番手に位置を下げざるを得ない競馬を強いられた。それでも4角最後方から大外を回って、上がり3ハロンはナミュール、サークルオブライフに次ぐ3位を記録。道中の不利さえなければ、3着争いに加わっていたと思わせる内容だった。
大敗したデビュー戦以来となる左回りは課題となるが、昨秋以降の充実ぶりから一発の可能性を秘める。
ここまで名前を挙げた3頭はいずれもキャリア4戦をこなし、すでに世代の一線級と相まみえてきた馬たちだ。一方、今年のクイーンCには未知の魅力にあふれる1戦1勝の良血馬も顔をそろえそうだ。
年明けの中京で3歳新馬戦を勝利したショショローザ(牝3歳、栗東・友道康夫厩舎)。半兄は19年菊花賞(G1)と21年天皇賞・春(G1)を制したワールドプレミアである。父がロードカナロアに替わってマイル路線での活躍が見込まれる。
半兄に香港G1・2勝のウインブライトを持つウインエクレール(牝3歳、美浦・畠山吉宏厩舎)。こちらは父がディープインパクトに替わって、クラシックも狙える素材だ。鞍上はもちろん松岡正海騎手が務める。
他にも半兄に18年京都新聞杯(G2)覇者ステイフーリッシュがいるラリュエル(牝3歳、栗東・矢作芳人厩舎)、半姉に昨年のアイビスSD(G3)覇者オールアットワンスがいるプレサージュリフト(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)も出走を予定している。
キャリア1戦の馬は過去10年で「0-2-2-13」と勝利はないが、2~3着には好走している。抽選突破が条件になる可能性が高いが、出走してくれば怖い存在になり得る。
桜花賞(G1)を見据える上で重要な一戦を制するのは果たしてどの馬になるのか。発走は12日15時45分を予定している。