JRA人気馬惨敗後の「ネタばらし」にファンブチ切れ!? きさらぎ賞(G3)福永祐一「後出しコメント」に賛否

福永祐一騎手

 昨年12月の香港遠征で落馬事故に巻き込まれ、左鎖骨を骨折していた福永祐一騎手。手術後のリハビリも無事に終え、5日の中京競馬場で復帰を果たした。

 5日に6鞍、翌6日に5鞍、2日間で計11鞍に騎乗しただけに、万全な状態での復帰だろう。11鞍のうち実に9鞍が1~2番人気という豪華ラインナップだったが、唯一勝利を挙げたのはスマッシングハーツで制した土曜メインのアルデバランS(L)のみ、実戦での勘はまだ復調途上なのかもしれない。

 今週末の中京は、ともに雪がちらつく悪天候下での開催。今季一番といえる寒さのなかで、やはりブランクが響いたのか、2日間トータルでも、精彩を欠く騎乗が目立った。

 そんな福永騎手にとって復帰後初の重賞レースが、日曜メインのきさらぎ賞(G3)だった。

 コンビを組んだのは昨年12月の阪神でデビュー勝ちを収めたエアアネモイ(牡3歳、栗東・池添学厩舎)。兄3頭も現役で活躍している良血の外国産馬で、初戦で3馬身差をつける逃亡劇を演じたことも評価され、デビュー2戦目ながら単勝オッズ8.1倍の4番人気に支持されていた。

 ゲートが開き最内から好スタートを決めたエアアネモイだったが、大外枠からハナを主張したメイショウゲキリンを行かせる形で、道中はインの3番手につけ、今回は逃げに拘らなかった。。レースは1000m通過が60秒6という平均ペースで流れたが、3コーナー辺りから福永騎手の手応えは、早くも怪しくなり始める。

 4コーナー手前で前2頭との差がやや広がると、直線入り口で早くも福永騎手の左ムチが飛んだ。エアアネモイはこれに反応することなく、ズルズルと後退。残り200m地点では既にテレビ画面から消えるほどの急失速だった。

 終わってみれば、11頭立ての10着。勝ったマテンロウレオからは2秒8もの大差をつけられていた。

 レース直後、ネット上には「いい位置にいたけど、直線で脚が上がったな」「最後は不自然に失速した」など、よもやの惨敗に解せない声が渦巻いた。「初戦はメンバーと展開に恵まれただけ」という冷静な意見もあったが、レース後の福永騎手のコメントで敗因が明らかになる。

「元々喉に疾患のある馬です。今まで走っている分には出なかったのですが、今日は気温も低かったせいか最後は脚を使えませんでした」

 不可解な失速を見せたエアアネモイだったが、実は喉の疾患持ちだったという。

 しかし、レース前ならまだしも、勝敗を左右しかねない重大な情報が、レース後に出されたことに対し、一部のファンが不満に思ったのは、仕方のないことだったのだろう。

 ネットの掲示板やSNSでは「終わった後にこれ言われても困る。なぜレース後に出した?」、「厩舎も事前情報として出しておかないと……」「レース前に出せないなら、最後まで出さないで欲しかった」など、エアアネモイ陣営の対応を非難する声も出てしまったようだ。

「最終追い切り後の池添学調教師のコメントにも『喉の疾患』というワードはありませんでし、スポーツ紙、専門紙などでも公になっていなかったように思います。もちろんレース前に陣営が全ての情報を話さないといけないわけはありませんが……。

競馬には、スポーツだけでなく、公営ギャンブルという側面もあるだけに、馬券に直結する情報が事前に知らされなかったことは残念です。レースが終わってから『実はそうでした』といわれても……。私もレース前に分かっていれば、本命にはしていなかったと思います」(競馬誌ライター)

 ただ、実際に喉の疾患があったとしても、デビュー戦は問題がなかった。結果的に今回はレース中に発症してしまったが、もしも何事もなく好走していたなら、公表されていなかった可能性すらある。

 勿論、厩舎によって事前に公表するケースもあり、こちらについてはグレーゾーンに近いのが現実だ。

 とはいえ、ノーマークの大穴ではなく、対象となったのは4番人気の支持を集めた実力馬。福永騎手のコメントから、陣営はレース前から把握していたと考えられるだけに、レース後の「ネタばらし」は残念でならない。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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