JRA C.ルメール泥沼「15連敗」に大本命ソネットフレーズ回避の追い打ち…共同通信杯(G3)「実質G1馬」相手のジオグリフも見込み薄?
6日、東京競馬場で開催された東京新聞杯(G3)は、4連勝で初重賞制覇を遂げたイルーシヴパンサーが、大外から豪快な差し切り勝ち。春の大目標となる安田記念(G1)と同じ舞台での快勝に、陣営の期待はますます膨らんだ。
“冬の上がり馬”が、見事な勝利を挙げた一方で、1番人気に推されたファインルージュ(牝3、美浦・木村哲也厩舎)は、勝ち馬から1馬身3/4差離される完敗。アカイトリノムスメに敗れた昨年の秋華賞(G1)と同じく、またしても2着が続いてしまった。
しかし、フィンルージュ陣営としては、大きな収穫のあった一戦ともいえるだろう。馬体重は、前走から16キロ増のグラマラスな仕上がり。勝ち馬の強烈過ぎる決め手に屈したとはいえ、古馬になって初のレースで見せ場十分の善戦を演じた。G1激走後の復帰戦としては、上々の滑り出しだったのではないか。
引き続き手綱を取ったC.ルメール騎手が「これからさらにコンディションが良くなるでしょう」と振り返ったように、次走での変わり身に期待が出来そうだ。
ただ、肝心のルメール騎手の調子がなかなか上がってこないのは、少々気掛かりでもある。
他メディアでも話題になりつつある1番人気馬の重賞成績は、昨年のホープフルS(G1)から数えて14連敗。今年もはや2月1週の開催が終了したが、いまだに未勝利というありさまだ。これは過去30年以上遡っても見当たらず、非常にレアケースといえる。
そして、先述のホープフルSを1番人気コマンドラインで惨敗したルメール騎手もまた、この長いトンネルを抜け出せないでいる。1番人気馬が重賞14連敗なら、ルメール騎手も15連敗。ここまで続くと、どちらが先に連敗ストップさせるのかも気になるところ。
今週末のクイーンC(G3)にルメール騎手で出走を予定していた大本命ソネットフレーズは、追い切り後に右前脚に不安が出たため、回避が決定する空回り。出走していれば、勝利の最短距離にいたと思われる実力馬だけに痛かった。
となると、共同通信杯(G3)にスタンバイしているジオグリフ(牡3、美浦・木村哲也厩舎)に大きな期待がかかるが、「確勝級」といえない理由にダノンスコーピオン(牡3、栗東・中内田充正厩舎)の存在がある。
2頭が直接対決した昨年の朝日杯FS(G1)で3着に入ったライバルに対し、5着と後れを取ったジオグリフ。マイル経験がなかったこともあり、G1の速い流れに乗れないまま、後方からの追走を強いられたのも響いた。
レース後、「距離が延びれば大丈夫だと思います」と振り返ったルメール騎手だが、だからといって200m延びた今回で逆転できる保証はない。
「ジオグリフが上がり最速といっても、ダノンスコーピオンとわずか0秒1の差でしかありませんでした。『負けてなお、強し』の印象は、どちらも同じなだけに今回も厳しい戦いとなりそうです。
実際、ダノンスコーピオンが萩S(L)で負かしたキラーアビリティは、ホープフルSを快勝していますからね。実力的には実質G1馬みたいなものです。楽な相手じゃないと思いますよ」(競馬記者)
昨年は3月と7月以外、毎月のように重賞を勝っていたルメール騎手だけに、ここまで長いトンネルとなったのは、さすがに本人も想定外だったかもしれない。
はたして、この不名誉な記録が、またも続くことになるのだろうか。1番人気馬の成績と共に注目したい今週末の開催である。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。