JRA「幻の菊花賞馬」が重賞大楽勝!「この馬が一番強いと思って」昨秋、菊花賞(G1)を除外されたテーオーロイヤルが無尽蔵のスタミナ披露!
「やはり菊花賞(G1)で見たかった」――。そんな声が聞こえてきそうな完勝だった。
19日、東京競馬場で開催されたダイヤモンドS(G3)は、2番人気のテーオーロイヤル(牡4歳、栗東・岡田稲男厩舎)が2馬身半差の快勝。マラソンレースを制し、春の天皇賞(G1)へ大きく前進した。
「この馬が一番強いと思ってレースに臨みました」
鞍上・菱田裕二騎手の言葉通り、強気なレース運びだった。3000mを超える長丁場の最後の直線。単騎逃げに持ち込んだグレンガリーを始め、先行勢が次々と脱落する中、テーオーロイヤルだけが最後まで力強い伸び脚。「直線の半ばで脚色が衰えなかったし、勝てると思いました」。最後は後方から2着ランフォザローゼスらが追い上げたものの、ライバルたちを寄せ付けない完勝だった。
「着差以上に強い内容でしたね。残り1000m付近からペースが上がるロングスパート合戦になって、後方勢に有利な展開になる中、1頭だけ力が違いました。
父リオンディーズは朝日杯フューチュリティS(G1)の勝ち馬ですが、半兄のエピファネイアが菊花賞馬ですし、全弟のグローブシアターもダイヤモンドSで2番人気に推されたスタミナ自慢。自身は気性の悪さで距離をこなすことができませんでしたが、潜在的なスタミナは相当ありそうです。
テーオーロイヤルは今回が初の2400mを超えるレースでしたが、父や母父の菊花賞馬マンハッタンカフェから豊富なスタミナを受け継いでいるようですね。これで春の大目標は天皇賞になったでしょうし、今後が大変楽しみになるレースぶりでした」(競馬記者)
昨春の青葉賞(G2)で4着するなど、早くから頭角を現していた素質馬。秋は菊花賞に登録したが、1/5の抽選に漏れて無念の除外に……。牡馬クラシック最終戦の前日に行われた兵庫特別(2勝クラス)で、同じく菊花賞を除外になったマカオンドールらを退けて勝利した際は「菊花賞で見たかった」「幻の菊花賞馬」といったファンの除外を惜しむ声が数多くあった。
「ちなみにテーオーロイヤルが兵庫特別で破ったマカオンドールは、今年の年頭に行われた万葉S(OP)勝ち馬です。
昨年はテーオーロイヤルと同じように秋華賞(G1)を除外され、『幻の秋華賞馬』と呼ばれたレイパパレが後に大阪杯(G1)を優勝。昨年の天皇賞・春を勝ったワールドプレミアが引退し、エフフォーリアら有力どころの多くが天皇賞をパスする見込み。今年は遅れてきた大物が、一気に勢力図を塗り替えてもおかしくないと思います」(同)
「所属する厩舎の馬で勝てて嬉しいです」
勝利騎手インタビューでそう語った菱田騎手は、これが所属する岡田厩舎での重賞初勝利。さらなる大舞台を見据えるテーオーロイヤルと共に、師匠へ“恩返し”するのはまだまだこれからだ。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。