JRA「デビュー2年目」の若手に早くも現役続行の危機!? 度重なる騎乗停止との闘い……、打開策は父と祖父が歩んだ活路か驚きの転向プランの可能性も
今週末の競馬を終えると、競馬界は一つの区切りとなる。定年を迎える調教師が引退していく一方、新規開業厩舎や新人騎手たちが続々とデビューを迎える。
その一方で、2年目となる騎手たちには早くも勝負の年となる。そんな中、痛恨の騎乗停止の制裁を食らってしまったのが、谷潔厩舎所属の西谷凜騎手だ。
西谷凜騎手は土曜の小倉1Rでサフランブライトに騎乗予定も、体重調整ができずに乗り替わり。19、20日に騎乗予定だった計11鞍が騎手変更となってしまった。
同騎手の体重調整失敗はこれまで度々問題になっている。
デビュー間もない昨年5月に体重調整が上手くいかずに脱水症状を発症し、乗り替わりになり2日間の騎乗停止。その後、処分が明けても騎乗を自粛しトレーナーを付けるなどして体を作り直した。
しかし、166.5cmと騎手としては長身であり、その後も体重調整は上手くいかず。今年に入ってからも負担重量について注意義務を怠ったとして2度の過怠金を科せられた。
こういった経緯から今回は、3月5日から4月3日まで開催11日間の騎乗停止という重い処分が下った。体重絡みの制裁は、通算7度目だからいよいよ深刻だ。
西谷凜騎手の父は、障害競走でG1・4勝を挙げる西谷誠騎手で、さらに祖父も同じ障害競走の騎手という競馬一家。その3世騎手として昨年の3月にデビューしたが、1年目は4勝、今年は1勝となかなか勝ち星が伸びずに苦しんでいた。
そういった状況で、翌3月には新人騎手がデビューし、減量騎手の競争率はさらに高くなる。その間、騎乗停止で競馬に乗れないというのは痛恨だろう。
だが、騎乗停止が明けても厳しい現実が待つ事になりそうだ。
今回、体重調整の失敗により騎乗出来なかったサフランブライトの斤量は53kg。仮に今後斤量53kg以下への騎乗が困難となった場合、騎乗出来るのは4歳牡馬や秋以降の3歳牡馬など、かなり限られてくる。特別競走やハンデ戦では減量の必要はないかもしれないが、通算5勝の若手を減量なしで起用しようという陣営はそう多くないだろう。
「今後も西谷凜騎手にとって厳しい状況は続きそうです。依頼しても体重が合わせられず、急遽の乗り替わりになるかもしれない。また、乗れたとしても厳しい減量で憔悴し十分なパフォーマンスが出来ないかもしれない、と陣営や馬主が考えてもおかしくありません。
腕を上げて早く減量が取れれば話は早いのですが、通算5勝とまだまだ先は長い。そうなってくると、今後平地競走で騎乗馬を集めるのはかなり難しくなってきます。遠くないうちに、父の西谷誠騎手と同じ障害競走の騎手への転向を迫られる可能性も十分に考えられます」(競馬記者)
騎手の世界も上位騎手の一極集中や新人騎手のデビューなどで、生き残りの厳しさが増している。勝負の2年目でどういった結果、決断を見せるのか。期待を持って見守りたい。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。