JRA 鮫島克駿「痛恨の選択ミス」で花道飾れず……「内を突いても良かったのかも」師匠自らが仕上げた1番人気騎乗も“安全運転”で不完全燃焼
今年で定年引退となる調教師にとって、最後の開催週となった今週末。計7名の調教師が自らの集大成として、仕上げてきた管理馬を出走させてきた。
特に気合いが入っているように感じるのが、栗東で唯一の定年となる浅見秀一厩舎だ。同厩舎は今週だけで14頭と大挙出走である。
中でも勝利が期待されたのが、26日の小倉2Rに出走したヤマニンサルバム(牡3歳、栗東・浅見秀一厩舎)だ。
18頭で争われた芝1200m戦。まずまずのスタートを切ったヤマニンサルバムは、道中は中団を追走。3・4コーナー辺りで外に持ち出されて最後の直線へ。満を持す形で鮫島駿騎手がゴーサインを送り、大外から鋭い差し脚を伸ばしたものの4着に終わった。
本馬は先月のデビュー以来、2戦連続2着。いずれも勝ち馬とは僅差で、ファンからしても順当にいけば今回こそ初勝利の順番と、単勝2.3倍の1番人気に推された。
また本馬の祖母と母は、どちらも現役時代は浅見厩舎に所属。浅見厩舎ゆかりの馬ということもあって、今回の追い切りには御年70歳の浅見師本人が騎乗。予定通りの時計で調教をつけ、態勢は整った。
鞍上には2戦ぶりに弟子の鮫島克駿騎手を起用。思い出の血統馬の初勝利を愛弟子が導くという最高のストーリーを期待したファンも少なくなかったはずだが、レースは4着に終わった。
「残念な結果になってしまいましたね。開催最終週の小倉ですが、まだ前が止まらない馬場で1200mは特にその傾向が強く残っていました。このレースの上位3頭もすべて前から競馬した馬でしたしね。
馬は持ち時計を1秒以上更新していますし、ここでは能力上位も明らか。鮫島駿騎手は『馬場のいいところを選んで走りましたが、結果的に内を突いても良かったのかも』と後悔していましたが、結果的には後ろから競馬したこと自体が仇になった印象です」(競馬記者)
記者の言葉通り、この日の小倉はこの2Rの他に9Rも1200mのレースだったが、やはり逃げ馬が勝利している。ちなみに先週の小倉では1200mのレースが5つ行われたが、いずれも4角4番手以内の馬が押し切っていた。
この日、浅見厩舎の馬に3度騎乗する機会があったが、3着が最高だった鮫島駿騎手。最終日となる明日は師匠の馬に騎乗予定がないことからも、期待のヤマニンサルバムが不完全燃焼に終わったことは弟子として痛恨の敗戦だったに違いない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……