JRA川田将雅「大誤算」からの起死回生!? ダノンスコーピオン春絶望も「最強の救世主」登場か……新星クラシック候補に漂う不穏な噂
今週末の中央競馬は、東西でクラシックに向けての最重要ステップとなるチューリップ賞(G2)と弥生賞ディープインパクト記念(G2)が開催される。直行組と王道トライアル組の激突は、本番でも大きな注目を集めるだろう。
豪華メンバーの集結したチューリップ賞は、まるでプレ桜花賞(G1)ともいえそうだが、弥生賞は昨年の朝日杯FS(G1)を制したドウデュースVSホープフルS(G1)敗戦組の構図といえそうだ。
とはいえ、ホープフルSの勝ち馬キラーアビリティは、前述の朝日杯FSでドウデュースの3着だったダノンスコーピオン相手に萩S(L)で敗れていた馬。例年は距離適性に勝るホープフルS組が優勢なクラシック戦線だが、今年は朝日杯FS組に分がありそうな雰囲気だ。
その一方、比較対象となったダノンスコーピオンだが、2月の共同通信杯(G3)で見せ場なく7着に敗れてしまった。追い切りに騎乗した川田将雅騎手から「間に合っていない。いい頃の動きがまだできていない」という厳しいジャッジもあったように、本調子ではなかったのだろう。管理する安田隆行調教師も「立て直しに時間がかかる。将来があるので、今は無理をしない」ということで、放牧に出されることとなった。
だが、主戦を務める川田騎手は、牡馬のクラシックでまだこれといった有力馬を確保できていないことも確か。めぼしい馬といえば、きさらぎ賞(G3)でマテンロウレオのハナ差2着に入ったダンテスビューくらいであり、同馬のこれまで戦ってきた相手関係を思えば、皐月賞(G1)での勝ち負けは厳しいのではないか。
■クラシック前に最強の救世主が登場?
期待のお手馬がアクシデントに襲われ大誤算の川田騎手にとって、「最強の救世主」になると注目されているのが、共同通信杯を快勝したダノンベルーガ(牡3、美浦・堀宣行厩舎)の存在だ。
しかし、同馬は松山弘平騎手との初コンビで見事な勝利を挙げたばかり。堀厩舎と急接近した昨年は、サリオスやヒシイグアスなどの看板馬を任せており、両者は良好な関係が続いている。
石橋脩騎手からの“鞍上強化”に最高の結果を出したにもかかわらず、親密な間柄の松山騎手ではなく、年に数回の騎乗があるかないかの川田騎手が候補に挙がったのはなぜなのか。
「直前までなかなか情報を出さない堀先生だけに、まず皐月賞を使うのか、ダービー1本に絞るのかも不鮮明です。ただ、松山騎手が次走でもダノンベルーガに乗れるかどうかは少々怪しいかもしれません。先生は一昨年くらいから松山騎手を高く評価していて、共同通信杯でも起用しましたが、双方にちょっとした“すれ違い”があったみたい。
C.ルメール騎手がイクイノックスに騎乗するとあって、後任を探していたジャスティンパレス陣営から白羽の矢が立ったのが、オーナーお気に入りの松山騎手でした。当然ながら、松山サイドもこれだけの馬の依頼は来ないと思っていたため、早い段階からクラシックの先約を受けていたようですよ」(競馬記者)
■松山騎手を襲った想定外の不運
ところが、まさかダノンベルーガのようなクラシック候補と巡り合ったのだから、松山騎手としては結果的に痛恨の“早仕掛け”となってしまった。
「状況的にも川田騎手が起用される可能性はかなり高いと思います。ベルーガのオーナーであるダノックスの主戦ですし、彼くらいの実績があると直前までどの馬に乗るか、陣営に待ってもらう事ができるので、融通が利きます。これといった有力馬がいない状況なら、お互いに“最強の救世主”といえるでしょう」
言われてみれば、アテにしていた松山騎手を確保できない可能性のある堀厩舎とクラシックで勝ち負けできそうなお手馬のいない川田騎手。こういった背景なら電撃的な新コンビ結成があっても驚けない。
近日中に結論が明らかになるだろうが、不穏な噂の出たクラシック候補の鞍上の行方に注目したい。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。