JRA「注文をつけるところがない」横山武史も絶賛の圧勝劇! 圧巻のロングスパートは「逃げて上がり最速」日本ダービー(G1)であの超大物にリベンジなるか

横山武史騎手

 6日、中山競馬場で行われた5R・3歳未勝利戦は、1番人気のバトルボーン(牡3歳、美浦・林徹厩舎)が勝利。キャリア2戦目を4馬身差の大楽勝で単勝1.9倍の支持に応えた。

「乗りやすくて、強い内容でした。注文をつけるところはありません」

 横山武史騎手らしい、馬の力を信じた強気の競馬だった。16頭立て芝2200mのレース。好スタートを決めたバトルボーンはそのままハナに立って、あっさりとペースの主導権を掴む。実力上位の大本命馬が逃げ、1000m通過が62.5秒というスローペースになった時点で半ば勝負ありというレースだった。

「僕はつかまっていただけ」エフフォーリア級インパクト!

 しかし、ここからが横山武騎手、そしてバトルボーンの真骨頂だ。残り1000mから徐々に加速すると、後続はついていくのが精一杯。2番手を追走していたのは、最終的に2着に粘り込むマイネルメサイアだったが、鞍上の戸崎圭太騎手の手が激しく動いていたことに対して、バトルボーンは馬なりのままだった。

 結局、横山武騎手が入れたムチは、後続を置き去りにしてからの気付けの1発のみ。逃げ馬に上がり最速、それも2位より0.4秒も速い脚を使われては、後続が追い付けないのも当然だ。最後は独走のまま悠々とゴール板を通過した。

「まさにテン良し、中良し、終い良しという非常に強い競馬でした。特に秀逸なのが、残り1000mからの加速ラップ。11.9 – 11.7 – 11.6 – 11.8 – 12.1というロングスパートをかけられては、他の馬たちはついていくのがやっとだったと思います。

2着馬のマイネルメサイアは、ここ2戦連続2着と未勝利では格上の存在でしたが、まったく相手になりませんでしたね。皐月賞(G1)にはもう間に合わないでしょうが、日本ダービー(G1)を目指していい器だと思います」(競馬記者)

 

■バトルボーンがリベンジしたいのは、あの超大物?

 これだけ強い競馬をしたバトルボーンが、未勝利戦に回っていたことには“ワケ”がある。昨年11月のデビュー戦で2着だったが、敗れた相手はダノンベルーガ。後に共同通信杯(G3)でデビュー2連勝を飾り、皐月賞でも最有力候補の1頭に挙げられている大物だ。

「東京・芝2000mのデビュー戦でも、この日と同じようにハナを切ったバトルボーンですが、ダノンベルーガが相手では、さすがに運が悪かった印象です。3着馬には5馬身差をつけていますし、やはりこの馬も強いんですけどね。ただ、この日が2200mだったように、今後さらに距離が延びていいのはバトルボーンの方かもしれません。

また、デビュー戦は上がり3ハロンの競馬でダノンベルーガの切れ味に屈した印象でしたが、今日のようなロングスパートを仕掛けることができれば、もっと好勝負に持ち込める可能性を感じました。いずれにせよ、大きな舞台での再戦が期待される2頭ですね」(同)

「ゲートに入るまでに時間がかかってしまいました。他馬にも迷惑をかけてしまったので、今後の課題ですね」

 レース後、そう注文を付けたのは「先」を見据えた横山武騎手の期待の表れか。遅れてきた大物バトルボーンの今後の動向に注目が集まるに違いない。一方、すでに皐月賞の有力候補の1頭に挙げられているダノンベルーガだが、デビュー戦2着馬の圧勝劇によって、さらに評価が高まることになりそうだ。

 

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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