JRA 引退ラッシュ「被害者」C.ルメールも、川田将雅も、福永祐一も完全にお手上げ!? 2022年春G1の主役は「4戦連続1番人気」濃厚のあのジョッキー

 先週チューリップ賞(G2)、弥生賞(G2)というクラシック第1弾の王道トライアルを経て、ようやく今年の春G1の勢力図が見えてきたファンも多いのではないだろうか。

 今年2022年は競馬界にとって、まさに「新時代の幕開け」と述べても過言ではない。昨年、実に多くの名馬が引退し、各路線の勢力図が一気に入れ替わったからだ。

 ちなみに昨年の引退ラッシュがどの程度のものだったのか。下記にカテゴリーごとに分けて、主な引退馬を記載してみた。※()は主なG1勝利

■古馬王道路線
コントレイル(三冠)
クロノジェネシス(有馬記念、宝塚記念)
ラヴズオンリーユー(オークス、香港C)
ワールドプレミア(菊花賞、天皇賞・春)
キセキ(菊花賞)
ブラストワンピース(有馬記念)

■マイル路線
グランアレグリア(安田記念、マイルCS)
インディチャンプ(安田記念、マイルCS)
ダノンプレミアム(朝日杯FS)
ダノンキングリー(安田記念)
ペルシアンナイト(マイルCS)

■スプリント路線
ダノンスマッシュ(高松宮記念、香港スプリント)
セイウンコウセイ(高松宮記念)
モズスーパーフレア(高松宮記念)
ダノンファンタジー(阪神JF)

 枚挙に暇がないことから上記の記載はG1馬だけに留めたが、これだけを見ても各カテゴリーの勢力図に大きな変化が起こっていることは火を見るよりも明らか。

 それはつまり、これから開幕する春のG1戦線に大きな影響を与えていることにもなる。各路線の「王者」が去った以上、今年の春は3歳クラシックを含めた各路線で新たな時代が幕を開けるはずだ。


新時代の覇権を握るジョッキーは?

 では、そんな新時代の主導権を握る「ジョッキー」は誰になるのだろうか。

 昨年のG1戦線も、やはりリーディング上位5傑となるC.ルメール騎手、川田将雅騎手、松山弘平騎手、福永祐一騎手、横山武史騎手が大きな存在感を示した。

 現在JRAでは年間23の平地G1が行われているが、上記5人が18という大半をシェア。すでに福永騎手がG1開幕戦のフェブラリーSを勝っているように、今年もリーディング上位騎手が中心になることは間違いない。

 だが、その一方で昨年の引退ラッシュは、彼らに確実な“ダメージ”を被らせたようだ。

 特にクロノジェネシス、グランアレグリアの両輪を失ったルメール騎手は、今年ここまでJRA重賞未勝利と大苦戦……。春のG1戦線へ早くも暗雲が立ち込めている。

 一方で、川田騎手も上記4頭が該当するダノン軍団の主戦というだけで、大きな戦力ダウンを迎えていることは明らか。また福永騎手も生涯最高のパートナーだったコントレイルに別れを告げただけでなく、インディチャンプの引退もまた大きいと言えるだろう。

横山武史騎手 撮影:Ruriko.I

 そんな中で「次代の覇権」を大きく手繰り寄せているのが、横山武騎手だ。

 昨年、エフフォーリアとのコンビで大ブレイクを果たした横山武騎手。今週ここまで11鞍の重賞に騎乗し、その内10鞍が初騎乗という人気ぶりは、まさに競馬界全体が新時代の看板に彼を据えようとしているようにさえ見える。また、先述した昨年引退馬の中に、横山武騎手が騎乗した馬はゼロ。まさに“ノーダメージ”で2022年を迎えたというわけだ。

「超VIP待遇」横山武史

 ちなみに下記が、間もなく開幕を迎える3月、4月の春G1における横山武騎手の騎乗予定馬である。※()は前走成績。

高松宮記念 レシステンシア(香港スプリント、2番人気2着)
大阪杯 エフフォーリア(有馬記念、1番人気1着)
桜花賞 ナミュール(チューリップ賞、1番人気1着)
皐月賞 キラーアビリティ(ホープフルS、2番人気1着)

 4戦連続で1番人気に支持される可能性すらある、超豪華ラインナップである。特に大阪杯(G1)のエフフォーリア、桜花賞(G1)のナミュールは単勝1倍台さえ予想される抜けた実力馬だ。まさに他のライバルたちの追随を許さない「横山武史の春」が開幕すると述べても、まったく過言ではないだろう。

 他にも、3月の重賞では日経賞(G2)でアサマノイタズラ、スプリングS(G2)のソリタリオをやはりテン乗りで騎乗予定の横山武騎手。特に後者はシンザン記念(G3)2着の実力馬。ここを勝つようだと、NHKマイルC(G1)でも1番人気が予想される。

 果たして、次代の旗手ならぬ“騎手”に選ばれた横山武騎手は、この春G1をいくつ勝つのだろうか。「横山武史時代」の幕開けは、もうすぐそこまで来ている。

 

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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