JRA三浦皇成「自作自演」のドン詰まりに溜息……「8枠」15番人気クリノプレミアム快勝の裏で、あの堅実派が3年ぶりの大敗劇
12日、中山競馬場で行われた中山牝馬S(G3)は、15番人気のクリノプレミアム(牝5歳、美浦・伊藤伸一厩)が重賞初制覇。鞍上の松岡正海騎手にとっても復帰後、初の重賞勝利となった。
2着にも12番人気のアブレイズが入線したことで、三連単は1,737,720円の大波乱。1番人気のミスニューヨークこそ3着だったが、他の上位人気馬は軒並み期待ハズレに終わってしまった。
その中でも、特に大きな敗戦となったのが5番人気のフェアリーポルカ(牝6歳、栗東・西村真幸厩舎)だ。
「上手くさばけていれば、違った結果に……」
レース後、主戦の三浦皇成騎手がそう悔やんだ通り、まさに不完全燃焼の一戦だった。前走のターコイズS(G3)と同じく中団やや後方からのレースとなったフェアリーポルカだが、勝負所の3、4コーナーで前にいたドナアトラエンテが下がってくる痛恨の展開……。
前を塞がれたまま、ほぼ最後方まで位置を下げて最後の直線を迎えると、三浦騎手は咄嗟に内へ。一瞬、進路を確保したように見えたがすぐに閉じてしまい、仕方なく切り返して外に進路を求めている間にゴールが来てしまった。
「うーん、フェアリーポルカ陣営にとっては悔いが残る一戦でした。いつもはあそこ(3、4コーナー)からしぶとく脚を使うのですが、ちょっと前にいたドナアトラエンテが邪魔でしたね。(ドナアトラエンテの鞍上)横山武史騎手も『思った以上に3コーナーで力んだ』と話していました」(競馬記者)
フェアリーポルカといえば一昨年の当レースを含め、重賞2勝を誇る実力馬。特に近5走で4度も4着があるなど堅実な走りに定評がある存在で、単勝こそ5番人気だったが、1番人気とのワイドでは3番手に評価されていた。
それが今回は14着という大敗……。ちなみにフェアリーポルカが前回10着以下に敗れたのは、2019年の秋華賞(G1)まで遡る。G1レースを除けば、キャリア初の二けた着順となってしまった。
「三浦騎手が『ロスなく立ち回りたかったので、上手く内に潜りこめた』と話していましたが、強いて敗因を挙げるとするなら“そこ”でしょうね。
判断としては、そこまで間違っていないと思います。ですが、皮肉にも勝ったのはフェアリーポルカと同じ8枠から素直に外を回ったクリノプレミアム。もし勝ち馬と一緒に外から伸びていれば、上位争いに加われていたと思われるだけに悔いの残るレースになってしまいました」(同)
レース後、ネット上の競馬ファンからはSNSや掲示板などで「外枠だったのに、わざわざ内に入って詰まりに行くとか」「自ら壁に詰まりに行ってるな」といったような感想が聞かれるなど、やはり応援していたファンとしても納得のいかないレースだったようだ。中には「平常運転」「これが三浦クオリティ」「溜息しか出ない」といった厳しい声もあった。
JRA通算936勝を誇りながら、未だにG1制覇へ手が届いていないことが度々話題になる三浦騎手。しかし、こと重賞に限っては2013年から8年連続「1年1勝」という珍記録を続けていたが、昨年12月のカペラS(G3)で年間2勝目を挙げて“殻”を破ったばかりだ。
悲願のG1初制覇へ、今回は春のG1連続開催へ向けてアピールのチャンスだったが、痛恨の判断ミスとなってしまった。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。