JRA三浦皇成「消極的」騎乗に苦しい弁明……1番人気ぶっ飛ばしにジャックドールまで「被害馬認定」のとばっちり
13日、中山競馬場で行われた古馬のリステッドレース・東風Sは、藤懸貴志騎手の5番人気ボンセルヴィーソが2番手から抜け出しての押し切り勝ち。直近の5戦すべてで馬券内に好走している中山巧者が待望の勝利を手に入れた。
藤懸騎手もパートナーとの相性は抜群。コンビ2戦目にして惜敗の続いていた馬で満点の回答を出した。ボンセルヴィーソにとっても19年11月の渡月橋S(3勝クラス)以来、2年4か月ぶりに勝利の美酒となった。
一方、鞍上の好騎乗が勝利を呼び込んだ勝ち馬に対し、1番人気馬に騎乗しながら“チグハグな騎乗”で敗れたのが三浦皇成騎手だ。
グラティアス(牡4、美浦・宮田敬介厩舎)と初コンビを組んだものの、後方から差を詰めただけの5着。メンバー中上がり最速33秒6の末脚を繰りだしたとはいえ、道中のビハインドが尾を引いた格好のもどかしい結果に終わった。
「マイルの流れに乗り切れず、ペースが落ち着いた時には勝負には苦しい位置取りになってしまいました。終いは良い脚を使ってくれただけに残念です」
敗戦をそう振り返った三浦騎手だが、まさにレースも自身が悔いた言葉通りの内容だった。
14頭立てで行われた中山芝の1600m戦。スタートで後手を踏んだグラティアスは後方からの競馬。これには三浦騎手も促しながらポジションを上げようとしたものの、その後の判断が不味かったか。
前には先行各馬が密集し、進路を確保できないまま、外にはアオイクレアトールとサクセッションが壁になる格好。それでもまだ腹を決めて外を狙えば、わずかながらチャンスがあったかもしれない。
しかし、その後も後方から動けなかったこともあり、3、4コーナーで直後にいたエメラルファイトが先に追い出すと万事休す。行くところがないまま、ほぼ最後方まで下がったのは痛かった。最後の直線でギリギリ空いたスペースに突っ込んだとはいえ、先行勢が上位を独占した展開では間に合わなかったのも無理はないだろう。
「短距離で活躍するレシステンシアの弟ということもあり、血統的な距離適性はあったと思いますが、元々中距離を使われていた馬。スタートで後手を踏んでしまいましたが、ジョッキー(三浦騎手)がもう少し積極的にリカバリーできていれば、違った結果があったかもしれません。
ただ、馬の方が芝2000mの前走から一気の2ハロン短縮で前半はモタつきましたね。慣れてくれば対応できそうな雰囲気はありました。十分に勝ち負け可能な走りでしたよ。
追い込む競馬でも好走したことで、自在性のあるところも見えましたが、いかんせん今回は道中のビハインドが大き過ぎた印象です。ただ、多少のロスを覚悟してでも伸び伸びと走らせて上げた方が良かった気もしますね」(競馬記者)
これにはレースを観ていたファンも思うところがあったようで、ネットの掲示板やSNSなどでは、一部のファンから「謎過ぎる騎乗」「ルメール(騎手)じゃないとダメだね」「ジャックドールも被害馬じゃん」他、三浦騎手の騎乗に敗因を求める声も見られた。
同日の中京メイン・金鯱賞(G2)をレコード勝ちしたジャックドールだが、キャリア9戦で唯一の馬券の対象外に敗れたプリンシパルS(L)は三浦騎手とのコンビで1番人気の5着。レコード勝ちの注目馬だっただけに、悪い意味で目立ってしまった。
「勝負には苦しい位置取り」といった三浦騎手のコメントも、見方によってはスムーズさを欠いたといえるレース内容で不満が出たのもやむを得ないか。グラティアスの勝利を信じていたファンからすると、「他の騎手ならあるいは……」と思わずにはいられなかったようだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。