JRA 今年のダービー馬も皐月賞(G1)ではなく裏街道から!? ノーザンファームお気に入り「ダービー予行演習」のG3が超豪華メンバー
26日、阪神競馬場では毎日杯(G3)が行われる。皐月賞(G1)トライアルには設定されていないものの、2017年の優勝馬アルアインを筆頭に、かつては皐月賞を狙う馬による最終便としての役割を担ってきた。
しかし、毎日杯を挟んで皐月賞へ向かうローテーションは、中2週とやや強行軍に感じる。そのため、同レースは皐月賞の前哨戦の顔を持つ一方で、5月上旬に開催されるNHKマイルC(G1)の前哨戦の側面もあった。かつてはキングカメハメハやディープスカイなどが毎日杯、NHKマイルCと連勝を果たしている。
だが、そんな毎日杯に近年“ある”変化が見られてきている。
主にノーザンファーム系列の馬が、クラシック1冠目ではなく2冠目の日本ダービー(G1)に向けた前哨戦として同レースを使うことが増えてきたのだ。
昨年のダービー馬でサンデーレーシング所有のシャフリヤールをはじめ、2着で同馬主のグレートマジシャンも、ダービーの前に毎日杯を使ってきた。さらに遡ると、2018年のブラストワンピースも同レースを使って賞金を上積みすると、皐月賞をスルーしてダービーに直行している。
そして、今年もノーザンファーム系列は毎日杯を「ダービートライアル」のように扱ってきている可能性がありそうだ。1月のセントポーリア賞(1勝クラス)を圧勝し、同レースに参戦予定のクラシック有力候補ドゥラドーレス(牡3歳、美浦・宮田敬介厩舎)が最たる例である。
ドゥラドーレスを管理する宮田敬介師は前走後「今後は様子を見てからだが、皐月賞よりもダービーから逆算して予定を決めていきたい」と、ダービーを目標としたローテーションを組むことを示唆した。その結果、次戦に決まったのが毎日杯。ノーザンファーム系列馬において、同レースはダービーを見据える上で使いやすいレースと捉えられているのだろう。
「毎日杯の舞台は阪神競馬場の外回りコースで、直線の長さも約470mと比較的長く、急坂があるため差し馬が基本有利です。例年スローペースで、瞬発力勝負になりやすい傾向があります。
日本ダービーは上がり3ハロンが34秒台で決着することが多く、切れる脚を求められます。つまり、毎日杯とダービーは求められる能力に共通点が多い。毎日杯はまさにダービー前の力試しにうってつけなレースといえます。
また、開催時期もダービーの約2ヶ月前と余裕がありますし、重賞なので2着までに入れば賞金加算ができます。ダービー出走可能な賞金まで上積みできれば、本番へ向けて外厩先で調整できますし、仮に負けても青葉賞(G2)などの本当のダービートライアルに切り替えればいいだけなので都合もいいのでしょう」(競馬誌ライター)
そういった背景が考えられる毎日杯だが、今年はノーザンファーム出身馬を中心に将来有望な顔ぶれが揃った印象だ。
先述したドゥラドーレスや、昨年のホープフルS(G1)で1番人気に支持されたコマンドラインを筆頭に、2019年セレクトセールで約5億円で取引されたリアド、同セールで約3億円で落札されたホウオウプレミア、2戦2勝中のピースオブエイトらがスタンバイしている。
「非常に楽しみなメンバーが揃ったと思いますよ。重賞勝ち馬はコマンドラインのみですが、その他の馬は重賞をいつ勝っても驚けないような高い能力を有している馬ばかりです。ここまで混戦になるのも、毎日杯の設定条件がノーザンファーム好みだからではないでしょうか。
これら5頭に加えて、大手ノースヒルズからは東京スポーツ杯2歳S(G2)3着のテンダンスが出走してきます。本当にどの馬が勝つのか分からないほどハイレベルですし、昨年のように毎日杯からダービー馬が出てくる可能性は十分あるはずです」(同)
来週はG1・高松宮記念が行われるが、その前日に行われる素質十分な3歳馬による熱いレースも注目だ。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……