JRA「キタサン」4年ぶりのG1制覇へ! フラワーC(G3)スタミナ自慢の孝行娘が重賞挑戦、まずは中山で“まつり”を起こす!
3月21日(月)中山競馬場ではフラワーC(G3)が行われる。桜花賞(G1)への最終便とも見なされるレースであり、昨年もこのレースで賞金加算に成功したホウオウイクセル、エンスージアズムの2頭が桜花賞に駒を進めた。
一方で、桜花賞へは中2週と厳しいローテーションとなることもあり、近年ではこのレースからオークス(G1)を目指すケースも多い。昨年の3着馬ユーバーレーベンは、このレースからオークスに向かい勝利している。
中山1800mはその距離に加えて、急坂を2度越える必要のあるタフなコース。ここまでの牝馬・世代限定重賞の中で1800mは最長距離であり、この時期の3歳牝馬にとっては過酷な条件である。予想においても、相応のスタミナをもつ馬を狙いたいところだ。
そこで注目したいのがキタサンシュガー(牝3歳、栗東・清水久詞厩舎)である。
父はG1を7勝、顕彰馬にも選出されたキタサンブラック。母系はドイツ由来で、従兄にドイツダービー(独・G1)2着のLucky Lionがいる血統。スタミナを強調された血統構成で、中山1800mなどタフなレースへの適性は高そうだ。
冠名の「キタサン」から分かるように、所有するのは父・キタサンブラックと同様に歌手の北島三郎氏(馬主名義は大野商事)。加えて所属も父と同じく清水久厩舎、さらには担当厩務員、馬房までも父と同じというのだから面白い。
キタサンブラックは現3歳世代が初年度産駒、北島氏は3頭の同産駒を所有しているが、現時点で勝ち上がっているのはキタサンシュガーのみ。馬名の由来はキタサンブラックの母、シュガーハートであり、北島氏のこの馬への期待が伺える。
キタサンシュガーは年が明けた1月にデビュー。中京競馬場での新馬戦では後方からレースを進めると、直線を向いてから徐々に加速していきゴール板手前で差し切った。前残りの展開であったが、上がり最速34.4秒の素晴らしい末脚を見せての勝利だった。逃げて後方に脚を使わせる父のレースとは真逆のレーススタイルだが、荒れ気味の馬場をものともせず、父譲りのパワフルな走りを見せてくれた。
キタサンブラックが「男の引き際」を有終の美で飾った17年の有馬記念(G1)。あれ以来「キタサン」の馬はG1の舞台に立てていない。父キタサンブラックに、北島オーナーに、G1のタイトルをプレゼントするためにも、まずはフラワーCで確実に賞金を加算したい。
再びウィナーズサークルに「まつり」が訪れる日は来るのだろうか。「孝行娘」キタサンシュガーの走りに期待したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。