JRA【日経賞(G2)展望】天皇賞・春(G1)前哨戦に中山巧者が勢ぞろい! タイトルホルダーVSアサマノイタズラ! 横山武史・和生「兄弟対決」の行方は……
26日、中山競馬場では第70回日経賞(G2)が行われる。春の盾にも直結する重要な前哨戦を制するのはどの馬か。早速展望していこう。
1992年以降の過去30年で30頭が勝ち名乗りを上げたが、このうち7頭を勝利に導いたのが“横山ファミリー”である。92、95、97、99、2006、20年の6度制覇しているのは横山典弘騎手。そして三男の横山武史騎手が昨年、ウインマリリンで初勝利を収めた。
今年は父・典弘騎手が不在だが、長男の横山和生騎手と武史騎手は参戦を予定している。大本命と目されるタイトルホルダーに騎乗するのは和生騎手の方だ。
昨年の菊花賞馬でもあるタイトルホルダー(牡4歳、美浦・栗田徹厩舎)。その時は武史騎手が絶妙な手綱さばきで5馬身差の逃亡劇を演じた。
年末には兄の和生騎手に乗り替わって有馬記念(G1)に出走。菊花賞(G1)に続く大逃げも期待されたが、引いた枠は大外16番。同型のパンサラッサもいたため、道中は2番手に控える競馬を選択した。
直線を向いて一度は先頭に立ったタイトルホルダーだったが、ゴール前の急坂で力尽きた。それでも掲示板を確保する5着に入線し、古馬にも通用するところを見せた。
その後は激戦の反動が出たのか、右後肢に不安を発症。春のスケジュールが白紙となったが、想定以上のスピードで回復し、ここを目標に調整されてきた。
順調なら次走は天皇賞・春(G1)を予定しているが、前哨戦を勝利で飾り、大一番に臨むことができるか。
弟の武史騎手は、タイトルホルダーと同じ4歳馬のアサマノイタズラ(牡4歳、美浦・手塚貴久厩舎)に騎乗し、昨年に続く勝利を狙う。
昨秋のセントライト記念(G2)で重賞初制覇を飾ったアサマノイタズラは、スプリングS(G2)でも2着しているように中山は得意としているコースといえるだろう。しかし、脆さも同居しており、皐月賞(G1)と2走前の有馬記念は、ともにしんがり負けを喫している。
有馬記念の惨敗で評価を大きく下げたが、続くAJCC(G2)では上がり2位の末脚を使って4着と、改めて実力を示した。ここでもペースが速くなるようなら、重賞2勝目も十分射程圏に入るだろう。
横山兄弟が騎乗する2頭の間に割って入るのは、武豊騎手が騎乗予定のアリストテレス(牡5歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。昨年末の有馬記念では、タイトルホルダーに次ぐ6着に入っている。
昨年1月のAJCC制覇後は勝利こそないが、京都大賞典(G2)2着など、G2では実力上位。過去7戦で連対したこの2レースに共通しているのが、どちらも約3か月ぶりの実戦だったという点だ。今回も有馬記念以来、約3か月ぶりなら激走があっても驚けない。
2年前の菊花賞では、コントレイルの三冠を阻むかという競馬を見せたアリストテレス。今回は大本命タイトルホルダーを徹底マークし、1年2か月ぶりに勝利の美酒を味わいたい。
ここまで名前を挙げた3頭はいずれも中山で重賞勝ちがあるコース巧者だ。その仲間に加わるのは格上挑戦の前走ステイヤーズS(G2)を制したディバインフォース(牡6歳、栗東・寺島良厩舎)である。引き続き、田辺裕信騎手とのコンビで重賞2連勝を狙う。
中山で重賞勝利こそないが、ウインキートスもコース巧者の1頭。昨年の当レースは15着に大敗したが、2周目3角で大きな不利を受けてのもの。その後、目黒記念(G2)を制し、秋のオールカマー(G2)は2着に好走している。鞍上は引き続き丹内祐次騎手が務める。
この他には、20年の中日新聞杯(G3)覇者ボッケリーニ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)、母に桜花賞馬のマルセリーナを持つヒートオンビート(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)とラストドラフト(牡6歳、美浦・戸田博文厩舎)の“兄弟初対決”にも注目したい。
3年連続で横山ファミリーがこのレースを制するのか。それとも武騎手がベテランの味を見せるのか。日経賞は26日15時45分に発走予定だ。