JRA ダノンスコーピオン「春には間に合わなさそう」から一転の戦列復帰!? 「使い捨て」疑惑の共同通信杯(G3)、前言撤回の陣営に疑問の声
先日、19日の若葉S(L)を制したデシエルトが岩田康誠騎手で皐月賞(G1)に向かうことが発表された。同馬はダート路線からクラシック路線に変更した馬だが、皐月賞トライアルを制したことで路線変更が成功したといったところだろう。
一方で、春のG1シーズン開幕直前にして、驚きの選択をした馬もいる。代表例がデシエルトの僚馬ダノンスコーピオン(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)である。
ダノンスコーピオンはデビュー2戦目の萩S(L)で、後のG1馬キラーアビリティとの接戦を制し、続く朝日杯FS(G1)でも3着に食い込んだ素質馬だ。当初は共同通信杯(G3)を叩いて皐月賞、日本ダービー(G1)へ向かうことが予想されていた。
しかし、共同通信杯で7着に敗退すると、状況が一変。ダノンスコーピオンは放牧に出されることになった。安田隆師は『デイリースポーツ』の取材で「春には間に合わなさそう。立て直しに時間がかかる。今は無理をしない」と答えており、「春全休」となった事情を説明した。
だが、またも方針が一転。デシエルトの皐月賞挑戦と同時に、「春全休」予定だったダノンスコーピオンが4月のアーリントンC(G3)を叩いて、NHKマイルC(G1)へ向かうことが発表されたのだ。これにはファンからも「春全休の話は何だったんだ」とネット上で疑問の声が上がっているようだ。
「驚きましたね。安田隆厩舎といえば管理馬のダノンザキッドが、昨年の皐月賞大敗後に骨折が判明しています。過去の経験から状態が悪いと判断した馬については、将来を見据えて無理させないと思っていたんですけどね。
それにしてもダノンスコーピオンに関する陣営のコメントは、どうも嚙み合っていないような気がします」(競馬誌ライター)
度々注目されてきた安田隆師のコメントだが、特にファンからの注目を集めたのが共同通信杯のレース前だろう。
共同通信杯へ向けた最終追い切りを終えたダノンスコーピオンについて、安田隆師は「まだ緩さはありますが、先週よりも動きは良かったです。ひと皮、いや半皮ぐらいむけたかな」と、良化途上ながら順調さをアピール。レースが近づくにつれて状態が上がってきているとした。
しかし、追い切りに騎乗した川田将雅騎手は「動きとすると、間に合っていない」「いい頃の動きがまだできていない状況です」と、安田隆師とは正反対の辛口ジャッジを下した。
そして、調教師と騎手の間で状態面に関して齟齬がある状況で共同通信杯に出走したダノンスコーピオンは、デビュー以来最低着順に敗れてしまったのだ。
「共同通信杯で賞金加算に失敗したこともあり、NHKマイルCも出走が確定したわけではありません。まずはアーリントンCで加算が目標ですね」(同)
23日の栗東坂路で行った追い切りでは、ダノンスコーピオンの背中に川田騎手の姿があった。恐らくアーリントンCも川田騎手が鞍上になることが想定されるが、果たして次回はどんな「追い切りジャッジ」が下るのか注目だ。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……