元JRA安藤勝己氏「迷走」サリオス陣営を一刀両断!? 高松宮記念(G1)15着大敗に「ずっと言ってきたとおり」
27日、中京競馬場では高松宮記念(G1)が行われ、ゴール前の大激戦をナランフレグ(牡6歳、美浦・宗像義忠厩舎)が制した。鞍上の丸田恭介騎手は騎手生活16年目、JRAのG1・12度目の挑戦でうれしい初勝利を飾った。
レース後、「道中は馬のリズムだけを考えてポジション取りしていました」と、コメントを残した丸田騎手。1枠2番という枠もあって、後方集団のインで脚を溜め直線に懸けた。
「残り200m地点で、失速するレシステンシアが壁になり、ブレーキをかけるシーンもありました。しかし、すぐに立て直すと、レシステンシアとトゥラヴェスーラの間に1頭分のスペースができ、そこをこじ開けるように伸びました。丸田騎手の絶妙な手綱さばきが光りましたね」(競馬誌ライター)
道中は距離ロスがほぼない内ラチ沿いを選択。内伸びの馬場と前半3ハロン33秒4というハイペースも味方につける形となった。
一方、同じ白帽でも最内枠のサリオス(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)は15着に惨敗。1枠の2頭が明暗を大きく分けた。
かつての2歳マイル王で、3歳時はコントレイルとライバル関係にあったサリオス。初のスプリント戦で変わり身に期待したファンも多かったのか、4番人気に支持された。
久々にコンビを組んだ石橋脩騎手を背に、サリオスはゲートをポンと飛び出し、これ以上ない絶好のスタートを切った。ところが、鞍上が追っ付けて前に出していこうとするも、未経験のハイペースについていけず。道中はちょうど中団のインを進んだ。
何とか流れに乗り、5番手まで押し上げ4コーナーを迎えると、石橋騎手は直線で最内ではなく、馬場の3分どころを選択。坂の手前で一瞬伸びかけたが、すぐに手応えをなくし、そのまま馬群に沈んだ。
結局、勝ち馬とは0秒6差の15着に敗れたサリオス。着順ほど負けたわけではないが、人気を大きく裏切る結果には変わりない。
そんなサリオスの敗戦に対し、「ずっと言ってきたとおり」と短いコメントを残したのが元JRA騎手の安藤勝己氏だ。
レース直後に自身の公式Twitterでレシステンシア、メイケイエール、グレナディアガーズといった上位人気馬の敗因を指摘した安藤氏。文字数の関係もあったのか、サリオスには冷淡とも思える「11文字」という“短文”回顧となった。
「安藤氏は以前から、サリオス陣営のレース選択には異を唱えていましたからね。姉のサラキアは2000m以上で活躍しましたし、父がディープインパクトからハーツクライに替われば、血統的に中長距離に適性があると期待していたようです。
サリオスがまだ2歳の頃だったと思いますが、安藤氏は将来的に2000mまでならコントレイル、それ以上ならサリオスといった発言もしていました。陣営がマイル路線に切り替えた3歳秋以降も『距離延長は問題ない』という持論を貫いていましたが……」(同)
今年の始動戦に陣営が選んだレースは、安藤氏の考えとはまさに正反対といえるスプリント戦。レース2日前の25日(金)には、Twitterで「ずっと推してきたけど、いよいよサリオスに印回んない」とつぶやいていた安藤氏がまさに危惧した通りの結果に終わった。
サリオス陣営は果たして次はどのレースを見据えるのか。結果的には、マイルからの距離短縮は得策ではなかったようだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。