JRA桜花賞(G1)ナミュールとプレサージュリフトは「秒」で消し!? あの岡部幸雄や横山典弘でも越えられない死屍累々の「高すぎる壁」とは?

ナミュール 撮影:Ruriko.I

 10日、阪神競馬場で牝馬クラシック第1弾の桜花賞が開催される。今年の主役は、チューリップ賞(G2)で2歳女王サークルオブライフを下したナミュール(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)になりそうだ。

 前走のチューリップ賞では中団前目の内側に潜り込み、直線外に出して猛然と差し切ったナミュール。見事な騎乗を見せた横山武史騎手は、今や押しも押されもせぬ若手No.1ジョッキーだが、これが「桜花賞」となると、一抹の不安がよぎる。

 桜花賞には魔物が潜んでいる。ここ30年間で美浦所属騎手が桜花賞を勝利したのは、なんとたったの2回。そのうち1回は昨年ソダシの吉田隼人騎手で、吉田隼騎手は関東所属ながら関西を主戦場にしている騎手だ。

 吉田隼騎手以外で美浦所属騎手が桜花賞を勝ったのは、ここ30年で2010年のアパパネで制した蛯名正義騎手(現・調教師)だけという断然、関西騎手有利のレースなのだ。

 桜花賞が行われる阪神の芝1600mは、スタートしてから1コーナーまで短く、何とかして内に入ろうと馬が殺到してJRA屈指の難コースとして知られていた。2006年から外回りコースで行われるようになって緩和されたものの、未だ乗り慣れてない関東の騎手は結果を残せていない。

 あのレジェンドの岡部幸雄元騎手が8大競走で唯一勝ってないのが、桜花賞。これだけを見ても、関東の騎手にとって桜花賞が「高すぎる壁」であることがわかるだろう。増沢末夫元騎手、小島太元騎手、的場均調教師、横山典弘騎手といったG1を勝ちまくった関東のレジェンド達ですら桜花賞を勝てていない。

 現在、関東を本拠地にしている美浦所属騎手で、桜花賞を勝った経験がある現役騎手は誰1人いないのだ。

横山武史騎手

 今年の桜花賞で1番人気が予想されるナミュールの横山武騎手や、プレサージュリフトに乗る戸崎圭太騎手といった関東を主戦場にしている騎手に、果たしてフルゲートになった阪神1600mでロスなく馬群を捌いて回ってくることができるのかというと、それは疑問だ。

 実際、戸崎騎手は2015年のルージュバックで単勝1.6倍の大本命に推されたが、9着に大敗。2016年のラベンダーヴァレイで穴人気していたものの6着、2018年のプリモシーンで10着、2019年のレッドアステルで14着など、ここのところ桜花賞では不甲斐ない騎乗が続く。

 横山武史騎手も昨年、桜花賞に初参戦。後に戸崎騎手で秋華賞(G1)を勝つアカイトリノムスメで、ソダシを終始マークするも直線伸びずに4着に敗退。その後は乗り替わりになってしまった。

 ここ10年の桜花賞を見ても馬券圏内(1~3着)に美浦所属騎手が入ったのは、吉田隼人騎手を入れても5回。栗東所属騎手は24回(残り1回は短期免許の外国人騎手)という極端な結果になっている。ナミュールにしろ、プレサージュリフトにしろ、軸にして買うのは怖すぎる。

 もし買うのなら、2着付け3着付けのヒモにとどめておくのが良いのではなかろうか。

(文=パッパラー山中)

<著者プロフィール>
 皇帝シンボリルドルフの代表産駒トウカイテイオーの舞うようなフットワークに魅せられて競馬を始める。人生で1番泣いたのは前年の大敗から1年ぶりの復活勝利を決めた1993年の有馬記念(G1)。感動のあまり競馬場で泣いて電車で泣いて家で泣いた。馬券はパドック派。今までで1番「こりゃすんげえ馬体」と思ったのはサクラケイザンオー。

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