JRA桜花賞(G1)ナミュール&横山武史に不安大!? エフフォーリアにキラーアビリティ、G1制覇の裏に隠された「キャロットファームとの関係性」に驚愕

横山武史騎手

 春G1の開幕から高松宮記念(G1)のレシステンシア、大阪杯(G1)のエフフォーリア。共に1番人気に支持された馬が敗退したが、この2頭に共通することがある。

 鞍上は横山武史騎手、馬主はキャロットファーム、生産はノーザンファームという3点だ。

 この結果が投げかけることは非常に重要だ。なぜなら今週の桜花賞(G1)のナミュール、そして来週の皐月賞(G1)のキラーアビリティの2頭も、横山武騎手、キャロットファーム、ノーザンファームという3点セットが揃っているからである。

 なぜレシステンシアとエフフォーリアは敗退したのか。もちろん、それぞれに様々な事情があるだろう。だがそれ以前に根本的な部分で気になるデータがある。

 それは横山武騎手とキャロットファームの相性だ。

 今年JRAで38勝を挙げ、昨年以上のペースで勝ち星を伸ばしている横山武騎手だが、実はキャロットファームの馬と相性が良くない。確かにナミュールでチューリップ賞(G2)を勝ち、昨年もエフフォーリアとキラーアビリティでG1レースを勝利するなど大舞台で活躍しているイメージがある。しかし、全体の成績で見るとそうではないのだ。

 まず2021年のキャロットファームに騎乗した主な騎手の成績を見てみよう。


■2021年キャロットファームと騎手の成績

川田将雅 39戦 13勝 勝率33.3% 連対率53.8% 複勝率64.1%

ルメール 63戦 10勝 勝率15.9% 連対率31.7% 複勝率42.9%

福永祐一 48戦  9勝 勝率18.8% 連対率33.3% 複勝率58.3%

横山武史 38戦  7勝 勝率18.4% 連対率28.9% 複勝率34.2%

石橋 脩 26戦  5勝 勝率19.2% 連対率34.6% 複勝率42.3%

横山和生 19戦  5勝 勝率26.3% 連対率47.4% 複勝率57.9%

松山弘平 37戦  4勝 勝率10.8% 連対率32.4% 複勝率40.5%


 ご覧の通り横山武騎手は38回の騎乗で勝率18.4%、連対率28.9%、複勝率34.2%という成績。一方で川田将雅騎手が勝率33.3%、連対率53.8%、複勝率64.1%とダントツの成績で、東西トップジョッキーに明暗。C.ルメール騎手は勝率15.9%ながら連対率31.7%。福永祐一騎手も連対率33.3%で、兄の横山和生騎手には勝率26.3%、連対率47.4%と水をあけられている。しかも石橋脩騎手も勝率19.2%、連対率34.6%と横山武騎手を上回っている。横山武騎手はここで挙げた7人の中で複勝率が唯一の3割台と低迷しており、相性の悪さを感じざるを得ない。

 しかも2021年の全7勝のうち4勝はエフフォーリアでのもの。上記の成績からその4勝を除くと、さらに厳しい数字だ。


■2021年エフフォーリア抜きの成績

横山武史 33戦  3勝 勝率9.1% 連対率18.2% 複勝率24.2%


 勝率18.4%→9.1%、連対率28.9%→18.2%、複勝率34.2%→24.2%と大幅にダウンする。昨年の年度代表馬エフフォーリアを除けば、こんな成績なのである。

 横山武騎手がブレイクするきっかけとなったのは、間違いなくエフフォーリアとの出会いだろう。共同通信杯(G3)を勝利し、皐月賞で初のG1制覇を成し遂げたのはご存知の通りだ。

 だが昨年の共同通信杯は、実はエフフォーリアにはルメール騎手が騎乗するという話があった。しかし同じレースにキングストンボーイを出走させた藤沢和雄調教師がルメール騎手を譲らず、ルメール騎手はエフフォーリアに騎乗できなかった経緯があるという。

 もし共同通信杯でルメール騎手が騎乗していれば、その後、横山武騎手とエフフォーリアがどんな活躍を見せたかはわからない。しかし横山武騎手は幸運にもエフフォーリアに騎乗することができ、その後一気に花開いたのは間違いあるまい。

 続いて今年はどうだろうか。昨年のブレイクを経て更に騎乗成績がアップしていればと思うが、残念ながらそうではなかった。2022年のキャロットファーム騎乗成績は以下の通りとなっている。


■2022年キャロットファームと騎手の成績

ルメール 21戦 5勝 勝率23.8% 連対率52.4% 複勝率57.1%

川田将雅 11戦 3勝 勝率27.3% 連対率54.5% 複勝率63.6%

岩田望来  8戦 3勝 勝率37.5% 連対率62.5% 複勝率75.0%

松山弘平  4戦 3勝 勝率75.0% 連対率75.0% 複勝率75.0%

横山武史 13戦 2勝 勝率15.4% 連対率15.4% 複勝率38.5%

鮫島克駿 11戦 2勝 勝率18.2% 連対率18.2% 複勝率36.4%


 ご覧の通りここまで13回の騎乗で勝率と連対率はともに15.4%。ルメール騎手は勝率23.8%、連対率52.4%。川田騎手が勝率27.3%、連対率54.5%。岩田望来騎手はなんと勝率37.5%、連対率62.5%という好相性だからその差は歴然。

 では騎乗馬の質が悪かったのかといえばそうとも限らない。今年キャロットファームの馬に騎乗した13回のうち6回は1番人気でのもの。1番人気に騎乗して6戦1勝2着無し、勝率も連対率も16.7%は厳しい数字だ。キャロットファームは今年の1番人気の勝率が43.2%、連対率は54.1%という数字から比較すると、横山武騎手が騎乗すると1番人気の成績は半分以下に低下するのである。

 横山武騎手はJRAで38勝を挙げ、ここまで勝率19.1%、連対率33.7%とキャリアハイの好成績を収めている。しかしキャロットファームの馬に騎乗すると一気に成績が落ちてしまう。これは相性以外の何物でもあるまい。特に1番人気に騎乗した時は、例えレシステンシアやエフフォーリアであっても、危険な人気馬となってしまうのだ。

 以上のデータから判断すると、桜花賞のナミュールや皐月賞のキラーアビリティが1番人気に支持されると、一気に波乱度がアップする。逆に言えば、その嫌なデータを覆すことができなければ、横山武騎手にとって今後に暗雲が漂ってくることになるかもしれない。

 場合によってはエフフォーリアやナミュール、そしてキラーアビリティも乗り替わりという話が出てくるだろう。この春噂されているD.レーン騎手に続く短期免許で来日する外国人騎手や、川田騎手や福永騎手、そしてルメール騎手も乗り替わり先の候補だ。崖っぷちに立たされた今週の桜花賞は、これまでのデータを覆す騎乗を見せてもらいたい。

(文=仙谷コウタ)

<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。

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