JRA桜花賞(G1)「ヴィブロスみたい」福永祐一も絶賛の大器! 前走重賞勝ちも「ラスールが出てれば勝ってた」覆したい安藤勝己氏の低評価
10日にゲートが開かれる、牝馬クラシック第一弾の桜花賞(G1)。1月のフェアリーS(G3)を勝利以来、3ヶ月ぶりの実戦で桜の戴冠を目指すのが、3戦2勝の関東馬ライラック(牝3歳、美浦・相沢郁厩舎)だ。
本馬は、2019年の札幌2歳S(G3)の勝ち馬で、翌年の菊花賞(G1)で5着したブラックホールの半妹。父はゴールドシップからオルフェーヴルに替わったが、8分の7までが同血にあたる。
昨年10月のデビュー戦では、コントレイルの全弟サンセットクラウドらを抑えて1番人気に支持されると、直線ノーステッキで抜け出して快勝。手綱を執ったM.デムーロ騎手も「超強かった」と絶賛した。
2戦目の京都2歳S(G3)は8着に敗れたが、どうやら関西への輸送に失敗した模様。馬運車に乗るのを極度に嫌がったようで、管理する相沢師も「全てがダメだった」と話していることから、実質的にはノーカウントの一戦だったと見てもよさそうだ。
先述のフェアリーSでは、ゲートの出こそ遅かったものの、道中外々を回りながら着差以上の完勝。デムーロ騎手の口からは「クラシックを狙える馬」とのコメントも飛び出している。
今回の桜花賞では、そのデムーロ騎手が2歳女王のサークルオブライフに騎乗するため、今回は福永祐一騎手と新コンビを結成する。
同騎手は1週前追い切りで本馬に跨っており『東京スポーツ』の取材によると「小柄でも牝馬らしい、いい切れ味を感じさせる身のこなしをする。ヴィブロスとか、あんな感じですかね」と、自身の手綱で秋華賞(G1)を勝った名牝を引き合いに出すなど、好感触を得ているようだ。
また、相沢師も「とても具合がいい。いまでは馬運車に乗るのも問題ない」と話している。京都2歳S後は馬運車に乗るトレーニングも課すようにしたとのことで、それ以来となる関西への輸送になるが、今回は好勝負が期待できそうである。
気になるところを挙げるとすれば、フェアリーSの優勝馬がまだ桜花賞を勝っていない点だろうか。
ただ、ここ2年はスマイルカナとファインルージュが連続して3着に好走している。輸送や調教技術が確立され、休み明けでも結果が出せるようになった現在であれば、優勝馬が出るのはもはや時間の問題だろう。
また、ライラックは祖母が桜花賞2着のブルーリッジリバー。07年の勝ち馬ダイワスカーレットなどを輩出しているスカーレット一族の牝系でもある。まさに桜花賞にはうってつけの血統だ。
「そのダイワスカーレットの主戦だった元JRAの安藤勝己氏は、フェアリーSのレース後、自身のTwitterに『ラスールはこっちに出てれば勝ってた』と投稿。どうやらライラックよりも、前日のシンザン記念(G3)で7着に敗れた馬の方を上と見たようです。
ライラックには、安藤氏のジャッジを覆すような走りにも期待したいところです」(競馬誌ライター)
ちなみに安藤氏は、今年の桜花賞は全体的にやや小粒であるとの評価を下しているようだが、果たして結果はどうなるだろうか。運命のスタートが切られるまでもうしばし待ちたい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。