JRA【アンタレスS(G3)展望】皐月賞より面白い!? “引退撤回”オメガパフューム始動戦は「超新星」上がり馬2頭との三つ巴!
17日、阪神競馬場では皐月賞(G1)の裏開催、アンタレスS(G3)が行われる。例年以上の好メンバーがそろい、皐月賞に勝るとも劣らない白熱した戦いが見られそうだ。
主役を務めるのはオメガパフューム(牡7歳、栗東・安田翔伍厩舎)だろう。“引退レース”として臨んだ昨年暮れの東京大賞典(G1)で4連覇の偉業を達成し、この春からの種牡馬入りが予定されていた。ところが、年明けに引退を撤回し、一転現役続行が決まった。
今年の最大目標は東京大賞典5連覇となりそうだが、目先の目標は6月に開催される帝王賞(G1)となる。約2年ぶりとなる中央のファンの前で健在ぶりを見せて、勝って本番に臨みたい。
オメガパフュームには、どうしても“大井専用機”というイメージがあるが、実は中央のダートでも11戦5勝と良績を残している。中央G1以外では「5-0-2-0」と崩れておらず、特に阪神では3戦3勝、右回りで「5-1-1-0」なら、主役の座は譲れないだろう。
主戦のM.デムーロ騎手が皐月賞でジャスティンパレスに騎乗するため、鞍上には横山和生騎手が起用される。59kgという酷量を課せられるが、それを跳ね除けることはできるか。
G1・5勝の絶対王者に挑むのが4歳馬の2頭だ。どちらもダート重賞初挑戦となるが、連勝中の勢いは侮れない。
昨年12月にダートに転向したグロリアムンディ(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)は1勝クラスからダートでは無傷の4連勝中と波に乗る。
前走の名古屋城S(OP)はダート転向後初めて1番人気に支持され、厳しくマークされる立場での出走となったが、好位から楽に抜け出すと、後続に2馬身差をつける快勝を収めた。
名古屋城Sといえば、昨年はテーオーケインズが勝利したレース。同馬はその後、アンタレスS勝利を挟み、帝王賞、秋のチャンピオンズC(G1)制覇とエリートへの階段を駆け上がった。
ただし、今年の名古屋城Sは決してメンバーレベルが高かったわけではなく、グロリアムンディにとってここは試金石となる。オメガパフュームにどこまで通用するのか。その走りに注目が集まる。
もう1頭の上がり馬がマルシュロレーヌの半弟、バーデンヴァイラー(牡4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)である。
こちらは昨年12月の2勝クラスから3連勝中で、ダートでは6戦5勝と底を見せていない。テンのスピードが持ち味で、これまで逃げもしくは番手での競馬で勝利を重ねてきた。
昇級初戦の前走・総武S(OP)は内目の枠を利して、ハナを奪って緩やかなペースに落とし込むと、上がり最速タイの脚を使って2馬身半差で快勝。半年ぶりにレースで騎乗した福永祐一騎手は「強かったです。最後まで集中して走っていました」と成長を感じ取った様子だった。
重賞初挑戦となる今回は、過去に1度騎乗した幸英明騎手を抜擢。代打には定評があるベテランで、乗り替わりの不安はないだろう。ここでも積極策で粘り込みを図りたい。
重賞2勝の実績馬、オーヴェルニュ(牡6歳、栗東・西村真幸厩舎)にもチャンスがある。
中京巧者のイメージが強い同馬だが、阪神ダートでも3勝している。特に20年12月のベテルギウスS(L)ではテーオーケインズに競り勝つなど、中京に限らずツボに嵌ったときの末脚、粘りは一級品だ。
鞍上がなかなか固定できないでいるが、今回はテン乗りの鮫島克駿騎手を起用。9日の阪神牝馬S(G2)でメイショウミモザを勝利に導いた手腕に期待がかかる。
ウェスタールンド(セ10歳、栗東・佐々木晶三厩舎)は、東京大賞典3着以来の実戦。6歳夏にダート路線に転向後は、強烈な決め脚を武器にほぼ毎回上位争いに加わっている。唯一の重賞勝利が2年前の当レースだ。
実力上位の馬がそろって乗り替わりとなるなか、ウェスタールンドは主戦の藤岡佑介騎手が継続して騎乗する。これは大きなアドバンテージとなり得るだろう。
この他には、重賞で2着3回、3着2回を数えるヒストリーメイカー(牡8歳、栗東・新谷功一厩舎)、19年の当レース覇者で昨年まで3年連続で出走し、1着、2着、16着というアナザートゥルース(セ8歳、美浦・高木登厩舎)、2月の佐賀記念(G3)を制したケイアイパープル(牡6歳、栗東・村山明厩舎)なども虎視眈々と上位をうかがう。
一度は引退を発表したオメガパフュームが実力を見せるのか。それとも新勢力のどちらかが連勝を伸ばすのか。発走は皐月賞直前の15時30分を予定している。