JRA 中山グランドJ(J・G1)「絶対王者」オジュウチョウサンはまだまだ健在! 11歳でも更新狙える「最後の記録」とは!?
16日、中山競馬場では春の障害王者決定戦となる中山グランドジャンプ(J・G1)が行われる。障害4250mの超長距離、合計12回の飛越をクリアし、栄冠を手にするのはどの馬だろうか。
今年、なんといっても注目はオジュウチョウサン(牡11歳、美浦・和田正一郎厩舎)であろう。昨年末の中山大障害(J・G1)で復活を遂げた、障害の「絶対王者」が2年ぶり6度目の同レース制覇を狙う。
前走の阪神スプリングJ(J・G2)では3着に敗れたが、休み明けであった点と、他馬より2kg重い斤量差を考えれば上々の内容。前走先着を許したエイシンクリック、レオビヨンドが出走せず。怪我からの復帰が間に合わなかった昨年の覇者メイショウダッサイも不在なら相手関係は随分と楽になる。
障害重賞勝利馬はケンホファヴァルトのみという手薄なメンバー構成で、実質的にはオジュウチョウサンの「1強」状態。9度目のJ・G1制覇は濃厚か。
相手関係は死角無しだが、最大の敵は「老い」になるだろう。11歳という年齢は人間でいえば35歳~40歳程度にあたる。いかに経験がものを言うジャンプレースといえど、年齢的にトップフォームを維持していくのは苦しいものがある。
オジュウチョウサンも全盛期のパフォーマンスに比べれば力が落ちているのは間違いない。2020年の京都ジャンプS(J・G3)では約4年半ぶりに障害レースで敗戦を喫すると、続いて挑んだ昨年の中山グランドJを5着に敗れている。前走の敗戦も致し方ない面があると先に記したが、全盛期のオジュウチョウサンならば斤量差など全く苦にせず圧勝していたに違いない。
ファンも年齢面を心配しているようで、最近は出走するたびにネットの掲示板やSNSなどには、一部のファンから「流石に引退させてあげてほしい」「まずは怪我無く無事に完走してほしい」といったコメントが散見されるようになった。
だがオジュウチョウサンにもまだ走るべき理由がある。数々の記録を打ち立てたオジュウチョウサンには実はあと1つ、更新すべき「最後の記録」が残っているのである。
その最後の記録とはカラジが持つ「障害G1・最高齢勝利記録」である。カラジはオーストラリア調教馬ながら、2005年から2007年にかけて中山グランドJの3連覇を成し遂げた名ジャンパーである。この2007年の勝利は12歳時のものであり、この最年長記録は未だに破られていない。
11歳のオジュウチョウサンは来年勝てばタイ記録、カラジの記録を更新するには2年後以降の勝利が必要になる。この記録を塗り替えるためには、まだまだ老け込むわけにはいかない。記録に挑むためにも、「引退説」を吹き飛ばすパフォーマンスを見せ続ける必要がある。
これまでのキャリアの中で、故障も、記録も、歴戦のライバルたちも飛び越えてきた「絶対王者」オジュウチョウサン。最後に立ちはだかる「老い」という壁も、きっと乗り越えてくれるはず。オジュウチョウサンはどこまで走り続けることができるのか、まずは今週末の中山グランドJで衰え知らずの走りに期待したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。