JRA戸崎圭太「もっと上を目指せる」遅れて来た大物が重賞級のインパクト!? ゴドルフィンの刺客が「6馬身差」ノーステッキの独走劇
最後の直線半ばにして、レースを観ていた誰もが勝利を確信できたほど、勝ち馬の姿はセクシーかつクールだった。
24日に東京競馬場で行われた鎌倉S(3勝クラス)において、他馬を圧倒する走りでダート短距離路線の新星に名乗りを上げたのは、戸崎圭太騎手とレモンポップ(牡4、美浦・田中博康厩舎)のコンビだ。
前走はスタートで躓きながらも2着馬を3馬身半突き放す大楽勝。勝ち時計の優秀さと底を見せていない魅力も相まって、2勝クラスから3勝クラスに昇級しながらも単勝オッズ1.4倍という断然人気に支持された。
そして、そんなプレッシャーもまったく意に介さない走りで期待に応えたレモンポップの強さは、前走以上のインパクトをファンに残したに違いない。
ゴドルフィンの刺客が重賞級のインパクト
16頭立てで争われたダート1400mのレース。4枠8番からスタートを無難に決めたレモンポップは、ハナを主張したアメリカンファクトの2番手を楽な手応えで追走した。残り400m過ぎた辺りで先頭に並び掛けると、後は後続を突き放す一方。ノーステッキでゴール板を駆け抜けたときには、6馬身もの大差がついていた。
勝ち時計の1分22秒8(稍重)も、追っていたらまだ詰められた可能性すらある。そして馬場状態こそ違えども、このタイムはテイエムサウスダンが根岸S(G3)でマークした1分23秒1(良)と遜色ない数字だ。本馬はフェブラリーS(G1)で2着に好走した馬でもある。
レース後に出された戸崎騎手の「また一段とパワーアップして良くなりました。レースが上手です。もっと上を目指せると思います。楽しみです」というコメントも、レモンポップへの期待が伝わる内容だった。次走は重賞も視野に入って来るのではないか。
ただ、残念なのは国内重賞におけるダートの短距離路線で、レモンポップの得意条件に合うレースがあまりないことだ。
秋にJBCスプリント(G1)やマイルCS南部杯(G1)などもあるが、いずれも地方競馬で開催される交流重賞。また、今回の鎌倉Sまで3戦無敗だった東京コースの成績も「4戦無敗」に更新しただけに、コース巧者の強みを生かすには、同じ中央でも中京1800mのチャンピオンズC(G1)よりは、得意の東京でマイルのフェブラリーSに適性があるだろう。
今後の夢に繋げるためにも、まずは次走で連勝を伸ばしたいところ。遅れて来たダートの大物候補が演じた独走劇。ブルーの勝負服で知られるゴドルフィンが送り込んだ刺客の快進撃を見守りたい。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。