JRA【京王杯SC(G2)展望】「馬場に泣いた」メイケイエールVS「ベスト条件」スカイグルーヴ!相性抜群のD.レーンはアノ馬に騎乗
14日、東京競馬場では安田記念(G1)の前哨戦、京王杯SC(G2)が行われる。過去20年で牝馬の優勝は2010年のサンクスノートだけだが、今年は強い牝馬が揃いそう。
メイケイエール(牝4歳、栗東・武英智厩舎)は、初G1制覇を狙った前走の高松宮記念(G1)で2番人気に推され、健闘むなしく5着に敗れたものの、敗因は明確だ。17番枠からの発走で、終始外を回される厳しい競馬。「完全に内有利」という池添謙一騎手のコメント通り、馬場状態の差が大きく、内目を伸びた馬に先着を許した。
それでも勝ったナランフレグから「クビ+ハナ+クビ+クビ」の僅差。外から脚を伸ばしたのは、実質この馬だけだった。上位勢とは互角以上の走りをしたといっていいだろう。
前走後は目標をここに設定し、一戦必勝態勢で臨む。久々の7ハロン戦、初めての府中となるが、それほど問題とはならないだろう。同距離のファンタジーS(G3)を勝っており、左回りも中京での近2走(シルクロードS、高松宮記念)のレースぶりを見る限り、心配はなさそうだ。
もしメイケイエールが勝てば、重賞5勝目。これはソダシと並び、現役馬では最多の数字となる(平地のみ)。悲願のG1制覇に向けて、まずは同じシラユキヒメ一族のソダシと肩を並べておきたい。
重賞4勝のメイケイエールには実績面で劣るが、スカイグルーヴ(牝5歳、美浦・木村哲也厩舎)も目下の充実度では負けていない。
こちらはエアグルーヴ一族の良血馬で、今回が5回目の重賞挑戦。デビュー2戦目の京成杯(G3)、そして前走の京都牝馬S(G3)は、どちらも勝ち馬とは半馬身差の2着に好走している好素材。いつ重賞に手が届いてもおかしくない実力の持ち主だ。
前走は初めての関西への長距離輸送が不安視されたが、パドックでは馬体もふっくら見せ、2人引きでも落ち着いて周回していた。2着に敗れはしたが、勝ち馬が高松宮記念2着のロータスランドなら、メイケイエールとも張り合える力はあるだろう。
府中1400mは現状のスカイグルーヴにとってはベストの条件といっていい。主戦のC.ルメール騎手が引き続き鞍上を務めるのも大きなプラス。コンビ通算6回の成績は「2-3-0-1」。唯一の馬券圏外はフローラS(G2)の5着のみで掲示板は外したことがない。ルメール騎手以外の時の「0-0-0-3」とは雲泥の差だ。
将来を嘱望された未完の大器が5歳にしてようやく本格化の時を迎えようとしている。
牝馬2頭に続くのが、重賞2連勝を狙うタイムトゥヘヴン(牡4歳、美浦・戸田博文厩舎)だ。
前走のダービー卿CT(G3)は、16頭立て11番人気の伏兵として臨んだ。道中は後方2番手に控え、4コーナーを回ったときは最後方という絶望的な位置取り。ところが直線を向いて、大外に持ち出されると、鮮やかな末脚が炸裂。中山の短い直線であっという間に前を行く15頭を交わし去った。
今回は初めての1400mに距離を短縮し、久々の東京コースで前走の切れ味を再現できるかどうか。好走歴は中山に偏っているが、東京でも昨年の富士S(G2)3着がある。前走のような先行馬総崩れの展開になれば、再度の大駆けがあってもおかしくないだろう。
母のキストゥヘヴンは06年の桜花賞馬だが、5歳の時(08年)にこのレースでスーパーホーネットの2着に入っている。14年の時を経て、母のリベンジを果たせるか。
実績面でメイケイエールを上回るのは、G1馬のラウダシオン(牡5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)だ。昨年の当レース覇者でもあるが、その後はいいところなく6連敗中。今年は初の海外遠征にも挑戦し、サウジアラビアとドバイで4着と9着に敗れている。阪神C(G2)以来となる国内レースで復活勝利を狙う。
2年前のNHKマイルC(G1)で3着の好走歴があるギルデッドミラー(牝5歳、栗東・松永幹夫厩舎)。その後、牝馬限定重賞で2度馬券に絡んでいるが、勝利はない。手綱を取るのは19年タワーオブロンドン、20年ダノンスマッシュで当レースを連覇したD.レーン騎手である。
この他には、3歳春に左回りの1400m戦、ファルコンS(G3)を勝っているシャインガーネット(牝5歳、美浦・栗田徹厩舎)、前走・ダービー卿CTを逃げて15着に惨敗も、左回りで一変が期待できそうなリフレイム(牝4歳、美浦・黒岩陽一厩舎)などが上位をうかがう。
12年ぶりに牝馬の優勝はあるのか。京王杯SCは14日、15時45分に発走を予定している。