JRAナミュールに迫った素質馬が「最後の未勝利戦」も現実的に…タイムリミットまであとわずか、もどかしい現状に女性騎手もヤリ玉?
「はぁ、また2着か…」
関係者や応援しているファンからそんな溜息が聞こえて来そうな結果だった。
8日、中京競馬場で行われた5Rの3歳未勝利は、秋山真一郎騎手の9番人気ブライトオンベイスが逃げ切り勝ち。開幕週の時計の速い馬場を味方に、キャリア初の逃げに転じた鞍上の好騎乗が光った。
その一方で、クビ差まで迫りながらも2着に惜敗したのが、1番人気を背負った古川奈穂騎手のスコールユニバンス(牝3、栗東・矢作芳人厩舎)だ。これでデビューから5度目の2着。勝利まであと一歩届かないレースが続いている。
16頭立ての芝1600mのレース。5枠10番からスタートを切ると、道中は中団よりやや前の内目を追走。前半3ハロン34秒8のミドルペースのなか、抜群の手応えで最後の直線に入る。
ところが、内ラチ沿いにいたことで、馬群に包まれ追い出しを待たされる事態に。残り200mでようやく進路が開け、猛然と追い出すも時すでに遅し。逃げたブライトオンベイスを最後まで捕らえられずにゴールを迎えた。
「ようやくと思ったのですが…惜しかったですね。芝のレースは前日からレコードが更新されるような時計の速い馬場状態でしたから、完全に逃げた秋山真騎手の作戦勝ちといったところでしょうか。
これで9戦して『0-5-2-2/9』とあと一歩の競馬が続いています。安定した末脚を持っていますし、近走は差し遅れがないように以前より道中のポジションも前目につけているのですが…運もありませんね」(競馬誌ライター)
もどかしい現状に女性騎手もヤリ玉?
スコールユニバンスは、先月の桜花賞(G1)を制したスターズオンアースと同じドゥラメンテ産駒の牝馬で、2019年のセレクトセールで約6000万円という高値で取引された馬だ。
昨年9月のデビュー戦では、今年のチューリップ賞(G2)の勝ち馬で桜花賞でも1番人気に推されたナミュール相手に2着に迫った実力の持ち主。最後の直線で見せた末脚は光るものがあり、勝ち上がりは時間の問題かと思われた。
しかし、現実はあまりに厳しいものだった。その後も堅実な末脚で善戦こそするものの、いまだに勝ちあぐねている状況。ファンからは主戦の古川奈騎手にもその原因の矛先が向けられ、ネットの掲示板でも「追えない」「乗り替わらないかな」などの厳しい声も出始めた。
今年、同騎手の全4勝はいずれも所属している矢作厩舎の管理馬でのもの。勿論有力馬も回ってくるなかで「4-11-6-66/87」と2着が多く、歯痒い競馬が目立っているのも事実だ。
さらに、3月にデビューした女性騎手の後輩・今村聖奈騎手が連日に渡る活躍をみせ、早くも勝利数で抜かされてしまった現実もさらなる焦りを生みそうな状況。
現3歳世代の未勝利戦終了の9月まで残りわずか。悩める素質馬に刻一刻とタイムリミットが迫るなか、今後の「主戦交代」も避けられない問題となりそうだ。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?