JRAヴィクトリアマイル(G1)武豊「掟破りのポツン」が予告したソダシ、レイパパレの苦戦!? 東京コースの「あるべき姿」に重大なヒント

ソダシ 撮影:Ruriko.I

 東京競馬場で15日に開催されるヴィクトリアマイル(G1)は、古馬牝馬によって争われるマイル女王決定戦。昨年はグランアレグリア、一昨年はアーモンドアイが圧勝を飾ったが、今年は抜けた馬がいない混戦模様だ。

 白毛のアイドル・ソダシを筆頭に大阪杯(G1)2着のレイパパレ、一昨年の牝馬三冠馬デアリングタクト、サウジアラビアの1351ターフスプリント(G3)を快勝したソングラインなど、豪華メンバーが出走を予定している。

 近年稀に見る激戦が期待される一方で、実力伯仲の馬が複数いるため、どのような結末が待っているかは分からない。

 ただ、先週までのBコースからAコースに替わるとはいえ、NHKマイルC(G1)の結果は、同じ東京の芝1600mが舞台のヴィクトリアマイルにおいて、十分に参考となるのではないか。

 4番人気ダノンスコーピオンが、8枠18番の不利を問題にせずにNHKマイルCを勝ち切ったが、最後の直線で内を選んだ1番人気セリフォスは、ゴール前で伸びを欠いて4着に惜敗。見せ場こそ作れたものの、後方外から伸びた2着マテンロウオリオンと3着カワキタレブリーの末脚に屈した。

 マテンロウオリオンは、大外に入った勝ち馬と真逆の1枠1番からスタート。ゲートを出遅れ気味に出たが、鞍上の横山典弘騎手は泰然自若の後方待機策を採った。慌てて馬のリズムを崩すことなく外を回したのも、ほぼ同じ乗り方をした9R湘南S(3勝クラス・芝1600m)のジャスティンカフェで“予行演習”を済ませていたからかもしれない。

 おそらく意図的にそういった騎乗をした横山典騎手と、出遅れたことで腹を決めたカワキタレブリーの菅原明良騎手とでは、同じ後方からの競馬でも一線を画すものだっただろう。

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

東京コースの「あるべき姿」に重大なヒント

 そして忘れてはならないもう一人の重要人物が武豊騎手だ。逃げる競馬で結果を残していたジャングロに騎乗するも、逃げ馬としては致命的と思える大出遅れ。横山典騎手もまさか武豊騎手が自分より後ろにいるとは思わなかったはずだ。

 しかし、惨敗してもおかしくない状況だったにもかかわらず、ジャングロは直線最後方からカワキタレブリーと同じ3ハロン33秒8の切れ味を披露する新たな一面を見せる。これには武豊騎手も「収穫はあった」と手応えを感じていたようだ。

 横山典騎手のお株を奪うような「掟破りの後方ポツン」でも、十分過ぎる善戦の実現に成功したことに意味がある。

 新潟の外回りに次ぐ直線の長さを誇る東京だけに、イメージ通りなら差し追い込み馬に有利なコースだが、馬場造園課の“努力”もあってか、馬場状態によっては、逃げ切りや前残りしやすくなる特徴も合わせ持つ。極端なときは、内を走った先行馬ばかりが好走することも珍しくはない。

 そこで改めて触れておきたいのが、東京・芝1600mにおける展開と傾向だ。今年行われた特別戦以降の対象レースは6つ。1月の節分S(3勝クラス)で逃げ切り勝ちが一例あるとはいえ、残り5レースはいずれも中団から後ろで競馬した馬が勝利している。

 サンプル数としては心許ないものの、直近である先週の2レースで差し追い込み決着となっているなら誤差は少ないはず。単刀直入にいえば、外を回した差し馬が力を発揮できる今の馬場なら、前に行った組が残りにくい「本来のあるべき姿」に近いということだ。

 となると、今週末のヴィクトリアマイルにおいても、逃げ先行馬の苦戦が容易に予想できるだろう。下馬評で4強を形成しつつあるソダシ、レイパパレ、デアリングタクト、ソングラインそれぞれの脚質は、逃げ先行タイプと差し追い込みタイプに二分される。

 現在の馬場状態を考慮すると、スピードが武器のソダシやレイパパレより、切れる脚のあるデアリングタクトやソングラインに有利な状況といえそうだ。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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