JRA ヴィクトリアマイル(G1)ソングライン「勝率1.9%」の絶望データ!? 生涯最高の舞台で父の“汚名”を晴らせるか

ソングライン 撮影:Ruriko.I

 15日、東京競馬場で行われる第17回ヴィクトリアマイル(G1)。春の女王決定戦に、今年はG1ホースが5頭も参戦を表明と、例年以上の激戦に期待がかかる。

 その中で待望のG1初制覇に挑むのが、池添謙一騎手とタッグを組むソングライン(牝4歳、美浦・林徹厩舎)だ。

 昨年のNHKマイルC(G1)では、牡馬のシュネルマイスターとタイム差なしの2着と奮闘。夏の関屋記念(G3)は3着に敗れるも、秋に富士S(G2)を勝って重賞初制覇を果たす。

 その後、暮れの阪神C(G2)では15着と大敗を喫したが、年明け初戦はサウジアラビアに遠征して1351ターフスプリント(G3)を快勝。実力を改めて示し、この大舞台に向けて弾みをつけた。

 前走の海外も含め、左回りのレースは【4-2-1-0/7】とオール馬券内。重賞2勝で勝率57.1%に連対率は85.7%と、驚異のサウスポーぶりを発揮している。

 今回の舞台である東京・芝1600mも【2-1-0-0/3】と死角なし。例年よりもメンバーレベルは高くなっているとはいえ、得意コースで行われる牝馬限定戦と考えれば、ソングラインにとって、ここが「G1勝ちの最大のチャンス」と言っても過言ではないはずだ。

 しかし、そんなソングラインにのしかかるのが「G1に弱いキズナ産駒」という血の宿命である。

ポスト・ディープ筆頭格のキズナだが……

 

 2019年に初年度産駒がデビューして以降、芝・ダート問わずに活躍馬を輩出してきたキズナ。昨年はJRAサイアーランキングでディープインパクト、ロードカナロア、ハーツクライに次ぐ第4位というキャリアハイの成績をマークするなど、ディープインパクトの後継種牡馬としてその存在感を高めている。

 昨年9月にディープボンドがフォワ賞(G2)を制してフランスでの重賞勝ちを成し遂げると、11月にはアカイイトがエリザベス女王杯(G1)を勝って待望のG1初制覇。今年のさらなる躍進に期待がかかっているが、実はキズナ産駒はG1の大舞台だと【1-7-2-42/52】、勝率はわずか1.9%と成績が伸び悩んでいるのだ。

 G3では2着が3回に対して1着が8回、G2でも2着2回に対して1着が7回と驚異的な勝負強さを発揮しているだけに、どうしても最高峰の戦いでの勝負弱さが目についてしまう。

 ソングラインも過去のG1は桜花賞が15着でNHKマイルCが2着。先述の通りシュネルマイスターに惜しくも敗れたレースでは、コーナーで不利があった中で大接戦の2着という価値ある結果にも見える。だが、逆に言えば一発勝負の大舞台の勝負どころで不利を受けてしまう点、その結果ハナ差で勝利を逃してしまう点から勝ち運のなさが透けて見える。

 そんな1年前の悔しさを糧に、今年は超豪華メンバーを相手に悲願のG1獲りを目指す。管理する林徹調教師は「メンバーはすごく強いですが、挑戦者の立場で良い結果を出せたら」と意欲のコメント。海外帰りで気になるも状態に関しても「すごく良かった」と語り、海外遠征を経て「精神面がひと回りもふた回りも成長した」と進化の手応えを口にした。

 中間の調教を担当した津村明秀騎手も、「たまに乗せてもらっていますが、今までで一番良い。言うことがないくらい良い」と太鼓判。「まともなら良い勝負ができる」という頼もしいコメントまで飛び出している。

 勝てば自身のG1初勝利だけでなく、管理する林徹調教師にとっても嬉しいG1初勝利。もう惜敗はいらない。大舞台で成長した姿を見せつけ、父キズナにとって不名誉な「勝率1.9%」のデータを引き上げることができるだろうか。

(文=木場七也)

<著者プロフィール>
 29歳・右投右打。
本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。
ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。

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