武豊騎手が天皇賞・春の距離短縮に「反対」世界競馬の潮流に反し”前時代的”な「3000m級のG1」を守り続けることの意義
いずれにせよ、今回大阪杯がG1になったことで、今後も大小様々な影響が出るはずだ。有力馬の海外流出問題や、天皇賞・春の距離短縮論についても決して決着がついたわけではなく、大阪杯がどれほどの影響力を持つのかは、おそらく数年後にならなければわからない。
その上で至極恐縮ながら、意見を述べさせていただくのなら、筆者も天皇賞・春は現行のままであってほしいと考えている一人だ。
実際に天皇賞・春の勝ち馬が、需要の見込みが薄いことから種牡馬入りしないなどの問題もある。だが、その一方で条件別に明確にカテゴライズされた現在の日本競馬の長所は、各カテゴリーに一定のカリスマ性を持ったチャンピオンホースが存在することだ。
そういった”個性”を持った1頭1頭が多くのファンを生み、今の競馬を支えていることも事実。だからこそ”チャンピオンステイヤー”を消滅させてしまうことは、逆にデメリットを生むのではないかという考え方もある。
娯楽が多様化し、一昔前のように社会現象を起こすようなスターホースを出現させることは、現実的に難しいのではないだろうか。だからこそ、複数のスターホースが競馬人気を支えていくことが現代にマッチした「競馬の在り方」のように思う。
(文=浅井宗次郎)