JRA「ウチの生産馬じゃないけど」ノーザンファームがまさかの“社台馬”イチ推し!? 「異例」の扱いを受けたドゥラメンテ産駒がタイトルホルダー、スターズオンアースに続く「第3の大物」か
今春、産駒のタイトルホルダーが天皇賞・春(G1)を7馬身差で圧勝し、スターズオンアースが牝馬二冠を達成。さらには上がり馬のアリーヴォが大阪杯(G1)で3着に激走するなど、抜群の存在感を示したドゥラメンテ。
昨夏にわずか9歳で他界してしまったのが悔やまれるばかりだが、初年度から2年連続でクラシックホースを輩出するなど、その存在は“伝説”になりつつある。昨年、早くも種付料が1000万円に到達するなど、もし健在であれば日本の生産界をリードするノーザンファームが、ドゥラメンテを次代の軸に据えていたことは間違いない。
当然ながら、今年デビューを控える2020年世代も充実したラインナップとなっている。中でも、注目したいのが、すでに藤原英昭厩舎への入厩が決定しているレッドマグナス(牡2歳)だ。
社台産なのにノーザンファームがイチ推し!?
母シックスイスはアルゼンチンの重賞勝ち馬。ステイヤーのタイトルホルダーや、ダートで活躍するバーデンヴァイラーなど、母方の特徴によって様々なタイプを輩出するドゥラメンテだが、Mr. Prospectorのクロスが発生するパターンはスターズオンアースと同じ。
また、本馬も今年の新種牡馬として注目を集めているサトノダイヤモンドや、同世代のダービー馬マカヒキに共通するサザンヘイローを持っており、日本向きのアルゼンチン血統としても有名だ。
「本馬は2番仔になり、母にまだ実績がないため東京ホースレーシングでも、募集総額は3600万円と控えめ。ただ、そんな期待値とは裏腹に、馬の方は非常に評価の高い1頭ですね。
今春にノーザンファーム早来で毎年恒例のメディア向けの取材対応がありましたが、その中でピックアップされた1頭がレッドマグナス(シックスイスの2020)でした。当然の話、例年ノーザンファーム産を中心に紹介されるのですが、そんな中でこの馬は社台牧場の生産馬。『ウチの産まれじゃないんですけど』と登場した際は、取材陣も驚いたとか。それだけ牧場サイドに手応えがあるということでしょう」(競馬記者)
まさに異例の存在と言えるレッドマグナスだが、振り返ってみればタイトルホルダーは2018年のセレクトセールで2160万円(税込み)という手頃な価格で取引されており、スターズオンアースも募集総額が2800万円と、決して生まれながらの良血馬というわけではなかった。
しかし、馴致を重ねる上でどんどん評価を上げていき、デビューする頃にはクラシック候補の1頭に名を連ねるまでに成長している。
「東京ホースレーシング×社台牧場×藤原英昭といえば、昨年のデビュー戦でスターズオンアースを破ったルージュスティリアが注目されています。チューリップ賞(G2)ではナミュールと同じく上がり最速の末脚を発揮し、オークストライアルのフローラS(G2)でも1番人気に推されたほどの素質馬でしたが、残念ながら脚部不安などで順調さを欠き、悔しいシーズンに終わってしまいました。
レッドマグナスは、そのリベンジになるかもしれない存在と言えますね。デビューはまだ先になりそうですが、順調だと聞いていますし、調教に乗っている岩田望来騎手もかなりの好感触を得ているようです」(同)
わずか2世代で圧倒的な存在感を示しているドゥラメンテ。3世代目がデビューする今年、惜しまれつつも、その評価をますます高めることになるのかもしれない。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。