JRA鋭い「相馬眼」でシャフリヤールとアルアインを指名、出資馬の半数近くがオープン馬……元中日・山本昌氏が明かした「一口馬主」の収支事情

撮影:Ruriko.I

 32年間で通算219勝を挙げ、今年1月にはプロ野球殿堂入りを果たした元中日ドラゴンズの投手・山本昌氏。現役時代から多趣味で知られ、特に“ラジコン愛”は現役時代からファンの間でも有名だった。

 他にも「車」、「クワガタ・カブトムシ」、「漫画・ゲーム」など、ジャンルは多岐にわたるが、「競馬」もそのうちの一つ。引退後は競馬番組にもたびたび出演し、いかにも勝負師という大胆な予想を披露している山本氏だが、競馬ファンの間では“一口オーナー”としても知られている。

元中日・山本昌氏が明かした「一口馬主」の収支事情

 山本氏の代表的な出資馬といえば、ディープインパクト産駒のアルアインとシャフリヤール兄弟だろう。兄は2017年皐月賞(G1)と19年大阪杯(G1)に勝利するなど、引退までに約5億円を稼ぎ出し、弟のシャフリヤールは昨年の日本ダービー(G1)に続き、今年3月にはドバイシーマC(G1)を制覇。4歳春の時点で獲得賞金は7億円を超えている。

 そんな両馬を所有するのがサンデーレーシングだ。名実ともに国内有数の一口馬主クラブで、これまでオルフェーヴル、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ、グランアレグリアなどノーザンファームの良血馬を中心に数多の名馬をターフに送り込んでいる。

 ただし、一口といってもサンデーレーシングの場合は合計40口しかない。良血の期待馬が揃っていることもあり、1頭あたりの出資金は一般的なサラリーマンではなかなか手が出ない価格設定。ラインナップの多くが安くても数十万円、高ければ100万円以上ともなっている。

 アルアインは総額1億円(1口250万円)、シャフリヤールはさらに上の1億2000万円(1口300万円)という高額馬だったが、期待に違わぬ活躍で募集額を大幅に上回る“利益”を出資者たちにもたらした。ところが山本氏曰く、実際は「(一口馬主を)始めてトントンくらい」だという。

 山本氏が意外な事実を明かしたのは、15日に公開されたレーシングドライバー星野一樹氏のYouTube『ホシノインパル 全開魂』というチャンネルにゲスト出演した際のこと。一口馬主歴が7年ほどという両氏が競馬談議に花を咲かせた38分ほどの動画で、お互いの“一口馬主ライフ”などを熱く語り合っている。

 詳細はぜひ本動画『【スペシャルゲスト 山本昌さん】競馬好き以外は見ないでください(笑)番外編は趣味熱が全開魂!』をご覧いただきたいが、まず山本氏と星野氏に共通していたのが、クラブから送られてくるDVDを「穴を開くほど見てしまう」という点だ。

 お互い「(歩様動画を)見てもあまりわからない」と謙遜するが、山本氏は「トモの大きさ」や「前脚のさばき」などが重要と解説。また、「5月生まれはポイントが高い」という意外な着目点も明かした。

「通常なら遅い時期に生まれた馬は見た目のハンデを背負っているように思われるかもしれません。(募集される)1歳の時点で、1月生まれと5月生まれの馬の間には成長にかなりの差がありますからね。でも山本氏は『5月に生まれてこんなに形がいいなら、さらに良くなる(可能性がある)』という視点を持つようにしているのだとか……。他にもためになるトークを展開していましたよ」(競馬誌ライター)

 ちなみに山本昌氏はサンデーR以外にも社台レースホースとG1レーシングの合計3クラブの会員で、これまで12~13頭に出資してきたという。

 そして、そのうちの半数近くがオープン馬(アルアイン、シャフリヤール、ギベオン、ヴァリアメンテ、アンティシペイト、シフルマン、ヒートオンビート)という驚異的な打率を誇る山本氏だが、「勝てなくて引退した馬もいるんですよ」と、リアルな側面も語り、トータルにすると、「トントンくらい」と明かした。

「『シャフリヤールが入るとプラスかもしれない』とも言っているので、おそらくトントンというのはシャフリヤール抜きでのざっくりの収支だと思います。それでもG1を2勝しているアルアインがいて、トントンというのは意外でしたね」(同)

 ちなみに筆者は、別の400口クラブでこれまで8頭に出資。5頭が勝ち上がっているが、オープン馬は皆無という低打率にあえいでいる。もちろん収支は大幅マイナスだが、分かっていてもやめられないのは馬券と同じなのかもしれない。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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