JRAエピファネイア産駒の「早熟説」はどこまで本当なのか!? キズナとの比較に明白な違い…エフフォーリア、デアリングタクトに「反証」の期待
上半期の総決算といわれる春のグランプリ・宝塚記念(G1)で見事な勝利を飾ったタイトルホルダー。昨年8月末に9歳の若さで急逝した父ドゥラメンテの後継者として、これからの活躍がさらに期待される存在となった。
これに対し、1番人気エフフォーリアと4番人気デアリングタクトの2頭を送り込んだエピファネイアは前者が6着、後者は3着。昨年の年度代表馬と一昨年の牝馬三冠馬という豪華なラインアップにしては、少々物足りなさを感じる結果だったといえる。
その一方で、一部のファンの間でエピファネイア産駒は早熟ではないのかという声もチラホラ出てきていることも事実だ。参考情報として26日の開催終了時点での重賞におけるエピファネイア産駒の成績をご覧いただきたい。
年齢 成績 勝率
2歳 2-2-4-19/27 7.4%
3歳 7-9-10-58/84 8.3%
4歳 1-3-3-16/23 4.3%
5歳 0-2-1-7/10 0.0%
こうして数字にしてみると古馬になってのパワーダウンは確かに否めない。4歳馬の1勝は昨年のアメリカジョッキークラブC(G2)を制したアリストテレスのみ。その後の飛躍を期待されたものの、以降は7連敗と低迷している状況だ。
キズナ産駒との比較に明白な違い…
これに対し、同期のライバルであるキズナ産駒の重賞成績はこちら。
年齢 成績 勝率
2歳 1-3-5-24/33 3.0%
3歳 11-5-8-80/104 10.6%
4歳 5-4-2-31/42 11.9%
5歳 1-2-4-16/23 4.3%
古馬になって成績を落としたエピファネイア産駒に比してキズナ産駒の場合は、3歳世代と同じ成績をキープしている。
また、今のところ3歳以下でしかG1勝利のないエピファネイア産駒とは逆に、キズナ産駒の場合は3歳でG1を優勝した馬はおらず、アカイイト(エリザベス女王杯)やソングライン(安田記念)が古馬になってG1タイトルを手にした。
そういう意味ではエピファネイア産駒に早熟の可能性があるという噂にある程度の説得力もありそうだ。
とはいえ、デビューした産駒の世代も2019年からとまだまだ少ないことも事実。早熟と論じるにはもう少し長いスパンで見てみたい。
代表産駒2頭の宝塚記念にしても、エフフォーリアは輸送競馬を苦手としている可能性も高く、デアリングタクトも長期の休養明けを叩かれた2戦目。キズナ産駒のディープボンドをゴール前で差したように復調を感じられた。
いずれもこのままで終わるようなスケールの持ち主ではないことを秋に証明したいところ。あくまで個人的な願望ではあるが、早熟説の払拭は時間の問題かもしれない気がしている。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。