【徹底考察】天皇賞・春(G1) シュヴァルグラン&タンタアレグリア「阪神大賞典での『2頭の差』は広がるのか、狭まるのか」
「考察」
昨年8月から初の重賞制覇となった前走阪神大賞典(G2)までに「6戦4勝2着2回」と破竹の快進撃を続けているシュヴァルグラン。
その一方、昨年3月に500万下を勝って以来、堅実に走っているものの1年以上勝ちに恵まれないタンタアレグリア。
同世代の2頭が辿った道はまったく異なるが、前走の阪神大賞典の結果は、先に出世したタンタアレグリアが着順だけでなく、競馬界における”ランク付け”においてもシュヴァルグランに「逆転」を許してしまった一戦だったのではないだろうか。
果たしてこのまま逆転したシュヴァルグランとタンタアレグリアの差は開く一方なのか、それともこの天皇賞・春でタンタアレグリアが阪神大賞典で付けられた0.4秒差を覆し、競走馬としての”格”も再逆転させるのか……。
まずは両雄が戦った阪神大賞典を振り返ってみたい。
8番手を進んだカムフィーが7着から4馬身離れた8着のままでゴール。それ以下も道中後方の位置取りのまま、何もできずにそのままゴールしており、レース自体は11頭立てだったが実質は7頭立てのようなレースだった。
そして、昨年の同レースでスズカデヴィアスら前に行きたい馬を行かせて4番手のポジションを取っていたカレンミロティックが、今年はハナを切っているのだからペースが上がるわけがない。昨年は最初の600mが34.7秒とタイトなペースで始まったが、今年は37.1秒といかにも長距離戦らしいスタートで始まっている。
それでもゴールドシップが勝った昨年と今年の全体時計が0.1秒しか違わないのは、スローペースを見越したシュヴァルグランとタンタアレグリアの2頭が、残り800m付近からスパートを開始し始めているからである。
ちなみにラスト800mからのラップは「11.9 – 11.6 – 11.6 – 12.4」上がり3ハロンが「35.6」秒。最期にペースが落ちているのは、スパート合戦にバテたというよりは、完全に抜け出したシュヴァルグランを福永騎手が追うのを止めたからだ。
阪神大賞典のラスト800mからまくりを掛けた馬は3頭いた。シュヴァルグランとタンタアレグリア、そしてM・デムーロ騎手騎乗のトーホウジャッカルだ。
しかし、4コーナーを回る際、すでに手応えがないトーホウジャッカル、全力で追い出しているタンタアレグリアに対し、一番外を回っているシュヴァルグランは持ったままだった。この時点で手応えに雲泥の差があり、直線を見るまでもなく勝負があったような状況。
それくらい、シュヴァルグランとタンタアレグリアの手応えには大差があった。