JRA 川田将雅の悲願に「審議」のランプが点灯、天敵C.ルメールが不在でも…独走中のリーディングに迫る陥落の足音

川田将雅騎手

「結果としてルメールさんに負けてしまいましたので、とても情けなく思っています」

 時は遡ること2019年度の『JRA賞授賞式』で、そう語ったのは川田将雅騎手だ。

 当時、上半期の6月終了時点で79勝を挙げ、全国リーディングではトップを独走。63勝で2位のC.ルメール騎手に大きな差をつけており、キャリア16年目にして悲願のリーディング獲得も現実味を帯びていた。

 ところが、最終的にリーディングジョッキーとなったのはルメール騎手。同騎手が164勝を挙げたのに対し、川田騎手は152勝と大逆転を許してしまったのである。ファンの多くがセーフティリードと感じていた勝利数の差だっただけに、川田騎手のコメントからも人一倍の悔しさが垣間見えた。

 あれから2年の時が流れた今年。悪夢を味わった川田騎手のリベンジがついに実現しそうな雰囲気である。

 今度こそと言わんばかりに、7月10日終了時点で83勝とトップを独走している川田騎手。ルメール騎手が2017年から昨年まで5年連続リーディングを獲得する陰で、自身は2019年から3年連続の2位と牙城を崩せないままでいたが、再び打倒ルメールの大きなチャンスが近づいてきた。

 川田騎手にとっては幸いなことに天敵ともいえるルメール騎手がリーディング4位にとどまる不調。昨年の同時期に103勝を挙げていたことを考えると、現在の63勝という結果は願ってもない追い風となっている。

 また、母国に帰国中のルメール騎手は6月27日~8月8日まで日本に不在。しかも例年より期間が長いことからも、川田騎手にとっては差を広げる絶好のチャンス到来といえるだろう。すでに一部ファンの間では、リーディング「当確」ではないかとの声も上がり始めた。

川田将雅の悲願に「審議」のランプが点灯

横山武史騎手

 最大のライバルからまたとない「ハンデ」をもらったこともあって、今度こそ“確定”かと思いきや、“審議”のランプを点灯させたのが、2位につけている横山武史騎手だ。

 現在の勝利数はトップに12勝差と迫る71勝。昨年の同時期(43勝)に比べると凄まじい勢い。川田騎手の背後から聞こえる足音は徐々に大きくなりつつある。

 春の主役を期待された横山武騎手の上半期のG1は、決して華々しい活躍だったとは言い難い。高松宮記念(G1)でレシステンシア、大阪杯(G1)でエフフォーリア、桜花賞(G1)でナミュール、皐月賞(G1)でキラーアビリティと多くの有力馬を任されたものの結果を出せず。上半期はG1未勝利というまさかの結果に終わっていたのだから……。

 しかし、ファンの注目が集まった大舞台で結果を残せなかったものの、実は平場のレースではコツコツと勝ち星を積み重ねていた。

 6月の函館開催が始まると、一気に勝利を量産。6月は11勝、7月はまだ2週目を終えたばかりもすでに8勝と驚異的な追い上げを披露。ついには川田騎手とも12勝差にまで縮まってきている。今年の残りの開催がまだまだ残されていることを考えると逆転も夢ではない。

「夏場は函館を主戦場にしているルメール騎手が不在ということも横山武騎手の追い風となっていますね。有力馬の依頼が分散することなく、騎乗依頼が集まりやすい状況です。春のG1戦線では期待を裏切る格好となりましたが、今思えばどの馬も確勝級とはいえないラインアップでした。

期待の大きかったエフフォーリアも関西への輸送が影響した可能性も高いですし、秋の復活は十分に考えられます。この調子が続けば十分にチャンスはあるでしょう。ルメール騎手がいない間に射程圏につけておきたいですね」(競馬誌ライター)

 昨年も下半期だけで63勝を挙げた横山武騎手だけに川田騎手にとってもその存在は脅威だろう。ライバルと見られていたルメール騎手ではなく、今年は勢いのある若武者が最大の強敵となりそうだ。

 果たして川田騎手が悲願のリーディング獲得となるか、それとも23歳の横山武騎手が大逆転で世代交代を告げるのか、ここから始まる下半期のリーディング争いにも目が離せない。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
 ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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