やんちゃなゴールドシップ産駒が“期待通り”の大暴れ
北海道苫小牧市のノーザンホースパークにて11日から12日の2日間に渡って行われたセレクトセール2022。今年は例年にも増して盛況であり、両日の総落札額は従来の最高額から約14%増となる257億6250万円にも上った。
当然ながら、セールにおける話題の中心は“億超え”で取引をされる高額馬たち。中でもダノックスが4億9500万円(税込み)で落札したモシーンの2021や、レッドホースが3億5200万円(税込み)で落札したシャンパンエニワンの2022といった“超高額”の馬たちには大きな期待と注目が寄せられた。
だがその一方で、取引額とは全く違った部分で大きな注目を集めた馬がいた。それがノッテビアンカの2021である。
同馬はセレクトセール初日の1歳馬セッションにて上場した1頭であるが、実は今回のセール全体を通して唯一のゴールドシップ産駒でもあった。現役時にはG1・6勝の成績もさることながら、“破天荒”とも言えるような気性の悪さで知られたゴールドシップ。その産駒が登場するとあって、YouTubeでの生中継を視聴していたファンからもセリそのものとは別な意味での期待を集めていた。
満を持して上場番号30番で登場したノッテビアンカの2021であったが、当馬のセリが始まって早々に“名刺代わり”と言わんばかりに暴れ始めた。その後は一旦落ち着いて静止したかと思えば、次の瞬間には前脚を高く上げて大きく立ち上がる。さらにセリの終盤にはお尻からポロポロと黄色いものを出す粗相をする始末であり、セリの参加者たちに“大物ぶり”を存分に見せつけていた。
セレクトセールの場で父・ゴールドシップを彷彿とさせるようなやんちゃぶりを見せたノッテビアンカの2021の姿はファンの間でも話題となっており、「流石はゴルシの仔」「血が濃いなあ…」などといった“温かい”コメントが寄せられていた。
その元気いっぱいの姿が功を奏したのかセリの入札も盛り上がり、最終的にノッテビアンカの2021は3520万円(税込み)の値で無事に落札された。早ければ来年の6月にデビューを迎えることとなるが、セレクトセールの場で見せた“大物ぶり”をターフでも見ることができるだろうか。
溢れ出るパワーを競走能力に変えて数々の伝説を残してきたゴールドシップのように、その活力をいい方向に還元することができれば、ノッテビアンカの2021も大きな活躍を期待できるかもしれない。父を彷彿とさせる破天荒な活躍に期待をしつつ、まずは無事にデビューを迎えることを願いたい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。