エピファネイア産駒の怪物2頭がジャパンCで激突か!?
怪物2頭がジャパンCで激突か!?
20年に無敗での牝馬3冠を達成したデアリングタクト(牝5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)が今秋のジャパンC(G1)への出走を視野に入れていることが分かった。始動戦となるオールカマー(G2)の結果を踏まえた上で、ジャパンCかエリザベス女王杯(G1)のどちらに向かうかを判断する方針のようだ。
少々気が早いかもしれないが、仮にデアリングタクトがジャパンCに出走するとなれば2020年以来2年ぶり2回目。前回のジャパンCは当年の牡牝無敗3冠馬であるコントレイル・デアリングタクトと女帝アーモンドアイが相まみえた歴史的な一戦であった。
結果は貫禄の違いを見せつけたアーモンドアイが勝利して9冠目を達成し、翌年にはコントレイルが有終の美を飾ったジャパンC。3強を形成したライバルたちが勝利した舞台で、大怪我を乗り越えたデアリングタクトが“完全復活”を遂げる…ファンとしてはそんなドラマティックな展開を期待したいところである。
また、今年のジャパンCの舞台で“完全復活”を期すのはデアリングタクトだけではない。同じくエピファネイア産駒であるエフフォーリア(牡4歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)にもジャパンC出走の可能性が浮上している。
エフフォーリアは昨年の皐月賞(G1)、天皇賞・秋(G1)、有馬記念(G1)とビッグタイトルを3つ獲得、現役最強と呼ぶに相応しい活躍ぶりであった。しかし一転して今年の春は成績が低迷、大阪杯(G1)、宝塚記念(G1)では共に期待を裏切る結果に終わってしまった。
エフフォーリアは昨年と同様に天皇賞・秋から始動し、その後は状態を見てジャパンCや有馬記念を視野に入れていくとのこと。今後のローテーションは流動的だが仮にジャパンCに出走することとなれば、デアリングタクトと完全復活を期して激突することとなるかもしれない。
2頭の父であるエピファネイアは3歳時に皐月賞、日本ダービー(G1)でそれぞれ2着、更に秋の菊花賞(G1)で勝利を挙げる素晴らしい活躍をみせたものの、翌年に古馬となってからは成績が低迷。3歳時の成績からすると物足りないシーズンを送っていた。
しかし秋に迎えたジャパンCでは、これまでの不振が嘘かのように後続に4馬身差をつけ圧勝。この2014年のジャパンCはジャスタウェイ、ジェンティルドンナを筆頭にG1馬が12頭も名を連ねた超豪華メンバーでの1戦。そこでの圧勝劇はエピファネイアの完全復活と呼ぶに相応しいものであった。
その産駒の2頭の怪物が、父と同じくジャパンCでの“完全復活”を期して激突する…このような展開となれば、今秋のジャパンCは大いに盛り上がるはず。
また、今年のジャパンCに関しては上記の2頭以外にも多数の有力馬が参戦してくるかもしれない。
フランスの凱旋門賞(G1)に出走予定のタイトルホルダーとドウデュースも、ローテーション的にジャパンCへの転戦がまったくない訳でもなさそう。
加えて今年の5月には東京競馬場に国際厩舎が完成。これにより外国馬が空港から直接東京競馬場へ入厩できることから輸送に関する負担が軽減される。この施設整備は当然ながらジャパンCへの外国馬の参戦を促すことが目的であり、これを機に海外の一流馬が参戦してくることも考えられる。
そのほかにシャフリヤールやユーバーレーベン、ステラヴェローチェといった国内の有力馬の参戦も期待される。こうした状況を加味すれば、今年のジャパンCは国内外から有力馬が多数出走する、例年以上に豪華な顔ぶれとなるかもしれない。
世間は夏競馬真っただ中だが、「光陰矢の如し」といわれるように秋の開催はそう遠くない。一昨年は3冠馬3頭の夢の競演、昨年はコントレイルの有終の美といった感動的なレースが続いているジャパンCだが、果たして今年は激戦の末にどんな「ドラマ」が待っているのだろうか。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。