【徹底考察】天皇賞・春(G1) シュヴァルグラン&タンタアレグリア「阪神大賞典での『2頭の差』は広がるのか、狭まるのか」

【血統診断】

・シュヴァルグラン
 昨年の天皇賞・春2着のフェイムゲーム、3着のカレンミロティックを輩出しているのだから、この舞台でシュヴァルグランの父ハーツクライに文句をつけるところは何もない。
ただ、父の代表産駒は世界NO.1の評価を受けたジャスタウェイ。ドバイデューティフリーや天皇賞・秋、安田記念(いずれもG1)を制した中距離馬であるように、ハーツクライ産駒が長い距離をこなすには母方にもスタミナ的な要素が欲しいところだ。そういった点、シュヴァルグランの母父はマキャヴェリアン、母母父ヌレイエフとスタミナ色は感じないが、母母母父となるブラッシンググルームがキラリと光る。ブラッシンググルームは父としても凱旋門賞馬レインボウクエストなど優秀な産駒を残しているが、ブルードメアサイアーとして天皇賞・春を勝ったマヤノトップガンやテイエムオペラオーを送り出している極めて優秀なステイヤー種牡馬。シュヴァルグラン自身、すでに阪神大賞典を制して長距離の適性を見せているが、この舞台は「むしろ歓迎」と言える血統構成だ。半姉にはヴィクトリアマイル(G1)を連覇したヴィルシーナ。G1を勝つには十分な良血だ。

・タンタアレグリア
 母系には日本であまり馴染みのない種牡馬が並んでいるが、母父スツーカは南米、特にチリで大きな成功を収めている種牡馬。それもスツーカ×ステージクラフトという配合は南米で数々の成功例を輩出しており、本馬の母タンタスエルテもチリのG1馬である。また、母母父ステージクラフトの近親には、日本でテイエムオペラオーやメイショウサムソンという天皇賞・春の勝ち馬を送り出したオペラハウスがいる。ステージクラフトとオペラハウスは、母方が異父姉妹で配合されたのが共にサドラーズウェルズなので3/4の同血。
どちらかと言えば中距離馬の多いゼンノロブロイ産駒で、本馬が異色のステイヤーとなっているのは、このステージクラフトから豊富なスタミナを受け継いでいるためだろう。詰めの甘い部分は否めないが、距離を心配する必要はない。

≪結論≫

「考察」で示した通り、阪神大賞典でのシュヴァルグランとタンタアレグリアには着差となる2・1/2馬身以上の差があったことは間違いない。タンタアレグリアはほぼ全力を出し切ったが、シュヴァルグランにはかなり余裕があった。普通に考えれば、逆転するのはかなり難しいと思われるが、だからといって強い馬が必ずしも勝つわけではないのが競馬だ。
タンタアレグリアを管理する国枝栄調教師と蛯名正義騎手といえば、アパパネを牝馬三冠に導いた名コンビだ。大舞台の勝ち方を知っているし、何より国枝調教師が蛯名騎手のことを「日本一の騎手」と全幅の信頼を置いている。蛯名騎手はフェノーメノの連覇を含み、天皇賞・春3勝の名手。皐月賞で見せた勝負強さがあれば、タンタアレグリアの激走があるかもしれない。
逆にシュヴァルグランの福永祐一騎手はシュヴァルグランが初G1挑戦ということもあって、どこまで馬を信じられるかが鍵になりそうだ。阪神大賞典の走りを再現できれば、戴冠の可能性は十分にある。

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