川田将雅×期待の新馬が1番人気ブービー負け……
一体どうしてしまったのだろうか。
16日、小倉競馬場の5Rに行われた牝馬限定・2歳新馬戦は、4番人気のコンクシェルが後方から差し切って優勝。今年のフローラS(G2)で3着に好走したシンシアウィッシュの全妹が見事にデビュー勝ちを決めた。
騎乗した福永祐一騎手はレース後、「こういう競馬がしたいと思っていた。まだまだ奥がありそう」とコンクシェルの将来性について評価。管理する清水久詞調教師は「間隔を空けたい」と話していることから、ひと息入れてまた成長した姿が見られることに期待したい。
一方、川田将雅騎手が騎乗した1番人気のエルモサミオ(牝2歳、栗東・安田翔伍厩舎)は、まさかの7頭立てのブービー6着に敗れた。
キタサンブラック産駒の同馬は、一昨年のセレクトセールにおいて山口功一郎オーナーが5500万円(税込)で落札。母ファッションプレートはサンタアニタオークス(G1)など米国でG1・2勝を挙げた名牝だ。
栗東に入厩してからは坂路やウッドコースで好調教を見せており、オーナーの山口氏も自身のTwitterに「育成時から順調に進められてきました!」と期待のコメントを投稿していたことから、当日は単勝オッズ2.1倍の支持を受けていた。
芝1800mのレース。エルモサミオはスタートで1、2馬身ほど出遅れると、行き脚もつかずに1頭だけ馬群から離れた最後方まで下がってしまう……。そのままシンガリで1コーナーを通過して向正面へと向かう。
バックストレッチに入ると前から5番手の位置まで押し上げる。しかし、3コーナー過ぎから徐々に手応えが怪しくなると、川田騎手の手綱も追い通しに。すぐ内を持ったまま進出していくコンクシェルのそれとの差は一目瞭然である。
やや外に振られながら4角を回って最後の直線に入ると早々と後退。残り100mを切ったところでは画面からもフェードアウトしてしまったが、下がってきた1頭をクビ差交わしたことで、何とかシンガリ負けだけは免れた。
「調教では動いていたみたいなので期待していましたが、レースでは出遅れるとその後も終始精細を欠いたままでした。改めて2歳戦の難しさを痛感させられましたね」(競馬誌ライター)
ほとんど見せ場を作れずに敗れた1番人気には、レース後のSNSやネット掲示板でも「単純にあまり強くないのでは」「なんでこんなに人気してたんだ」「まだ競馬を理解してなさそう」など、やや厳し目の意見が飛び交っている。
キタサンブラック産駒の牝馬といえば、先週はナミュールの妹ラヴェルがデビュー勝ち。牡馬相手に後方から強い競馬で押し切ったことで、一躍クラシックの有力候補に躍り出た。
今回はそのときと同じ小倉芝1800mが舞台であったことから、エルモサミオにはラヴェルに続く好レースも期待されたが、先行きが不安になるやや厳しい船出となってしまったようだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。