【引退】ノンコノユメは「キタサンブラック」と同世代。ドゥラメンテ、レッツゴードンキ…個性派集団の中、最後まで輝きを失わなかった努力家【特別寄稿】

競馬つらつらより

 25日、2018年のフェブラリーS(G1)の覇者ノンコノユメ(セン10歳、大井・荒山勝徳厩舎)が現役生活に幕を下ろすことが分かった。

 ダート一筋・通算46戦9勝。セン馬となってタフに走り続けた個性派だったが、同時に2着が10回と勝ち切れない馬でもあった。ただ、そこが多くのファンに愛された理由であると思うのは、筆者だけではないだろう。

 現役でも珍しい10歳の高齢となると、デビュー戦は8年前の2014年。当時、どういった馬が活躍していたのかピンと来ない読者も少なくないだろうが、前年の年度代表馬がロードカナロアといえば少しは参考になるだろうか。

 ノンコノユメは2012年生まれということになるが、この世代は実に個性派が集った世代でもある。あまり接点がないので、気付いていない人も多いと思うが、2012年生まれは「キタサンブラック世代」である。

 武豊騎手と一世を風靡したキタサンブラックがこの世代の賞金王だが、この18億7684万円は歴代でもアーモンドアイに次ぐ2位だ。さらにこの世代で2頭目の10億円ホースとなったのがシュヴァルグラン。2017年のジャパンC(G1)制覇など、キャリア最後半はキングジョージ6世&QES(G1)やインターナショナルS(G1)などの海外レースにも挑戦した。

 ノンコノユメの5億7691万円(中央+地方)は、この2頭に続く世代3位となる。

 続く4位には、昨年他界したもののタイトルホルダーやスターズオンアースを輩出するなど、種牡馬としても大成功したドゥラメンテ。他にもサトノクラウンやリアルスティール、ヤマカツエースなど、同世代の賞金上位には新種牡馬として今夏に産駒がデビューした名馬の名も並ぶ。

 一方の牝馬も、王道を歩んだ二冠馬ミッキークイーンを筆頭に個性派ぞろいだ。

 中でも、超スローペースの桜花賞(G1)をまんまと逃げきったレッツゴードンキが、当時あれほどの名馬になることを予想できたファンは少数派だろう。その後は低迷が続いたが、古馬になってから短距離路線で存在感を発揮。JBCレディスクラシック(G1)でも2着するなど芝・ダート問わずに活躍した。

 クラシックには手が届かなかったクイーンズリングも、古馬になってエリザベス女王杯(G1)を制覇。有馬記念(G1)で人気薄ながら2着に好走し、世間をアッと言わせたことを覚えているファンも少なくないだろう。

 さらに桜花賞で1番人気に支持されるなど、長くG1制覇が期待された大器ルージュバックは、結局ビッグタイトルに縁のない馬だった。しかし、今春の大阪杯(G1)では、そんな姉の無念を弟のポタジェが見事に晴らしている。

 また、ノンコノユメが活躍したダート路線もタレントに恵まれた世代だ。

 特に2016年の東京大賞典(G1)を勝つなど、長く一線級で活躍したアポロケンタッキーは、ノンコノユメの代表的なライバルといえるだろう。お互いG1勝ちこそ多くなかったが、名脇役として何度も馬券圏内を賑わせた。

 他にも2019年の川崎記念(G1)を勝ったミツバなどの名もあるが、ブルドッグボスやテイエムジンソク、ノボバカラやモーニン、ホワイトフーガ、カフジテイクなど、実績よりも印象の強い個性派が目立つ。

 個性派といえば、障害レースで活躍するタガノエスプレッソも忘れてはならない。

 一昨年の京都ジャンプS(G3)で、障害13連勝中と無敵を誇ったオジュウチョウサンの快進撃を止め、全国の競馬ファンを驚かせたのがこの馬。10歳となったこの春も京都ハイジャンプ(G2)を逃げ切るなど、あの大金星がフロックでなかったことを証明し続けている。

 他にも、一昨年の鳴尾記念(G3)で10番人気ながらラヴズオンリーユーを破ったパフォーマプロミス、武士沢友治騎手とのコンビでハナに強烈な拘りを見せていたマルターズアポジーなど、2012年生まれの個性派を挙げれば、競馬ファンなら一晩でも二晩でも語り飽きないだろう。

 ノンコノユメは、そんな個性派揃いの中でも確固たる輝きを放った名馬だった。残念ながら、種牡馬になって後世にその血を残すことは叶わないが、多くの競馬を愛する人々の記憶には、その個性的な名が長く長く残るに違いない。

(文=浅井宗次郎)

<著者プロフィール>
 1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)

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