ジェンティルドンナ弟が砂で「大惨敗」……ダート戦デビューに戦前から疑問の声

今村聖奈騎手

 20日、小倉競馬場の6Rに行われた2歳新馬戦(ダート1700m)は、1番人気のヤマニンウルスが早め先頭から後続に大差をつけ、1分44秒3の2歳JRAレコードで圧勝した。

 騎乗した今村聖奈騎手はこれで中央・地方合わせて通算31勝となり、G1レースへの騎乗が可能に。ヤマニンウルスについてはレース後「稽古通りの走りをしてくれた。素晴らしい馬に乗せていただき光栄です」と、喜びを語った。

 その一方で、勝ち馬から約8秒差の8着という大惨敗を喫してしまったのが、2番人気に推されていたイストロス(牡2歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。

 同馬は父ロードカナロア、母ドナブリーニという血統。国内外でG1・7勝を挙げたジェンティルドンナや関屋記念(G3)などを勝ったドナウブルーの半弟となる、おなじみの良血馬である。

 姉らと同じくクラブ法人のサンデーレーシングにて総額8000万円で募集がかけられており、カタログにも「半姉に似たタイプ」などと紹介されていたことから、多くの競馬ファンから注目を集めたのも当然だろう。

ダート戦デビューに戦前から疑問の声

 だが、芝で大活躍した姉妹と反してダート戦でのデビューとなったことで、ネットなどでは戦前から「砂の初陣とは意外」「この血統でダートデビューはどうなんだろう」といったやや懐疑的な声も聞かれていた。

 1頭の競走除外により15頭で争われたレース。イストロスはスタートして1完歩目で躓くと、行き脚がつかないのか鞍上のC.ホー騎手が出ムチを入れることに。中団後ろのポジションを追っつけながら追走して向正面へ。

 バックストレッチに入ると外目に持ち出してやや押し上げたが、3コーナー手前で手応えが怪しくなったのか再び鞍上のムチが入ったものの、前進気勢はほとんど見られずに万事休す。そのまま後方でフィニッシュを迎えている。

「勝ったヤマニンウルスが強すぎたということもあると思いますが、イストロスはスタートしてからほとんどついて行けず、終始見せ場のないまま終わってしまいました。

管理する音無師は兄のスレイマンが砂で走っていることもあってダートデビューを決めたようですが、今日のレースを見る限りでは適性があるかどうか正直微妙なところではないでしょうか」(競馬誌ライター)

 本馬の兄スレイマンは、ダートで4勝を挙げてオープン入りしたキングカメハメハ産駒だ。ロードカナロア産駒のイストロスも同じキンカメ系ということで、師はダートOKと判断したのかもしれない。

 ただ、キングカメハメハがホッコータルマエやチュウワウィザードといったJRAダートG1馬を輩出しているのに対し、ロードカナロアの中央でのダート重賞勝利はレッドルゼルが勝った根岸S(G3)わずか1つしかない。

 先週終了時点での通算勝利数も、キングカメハメハ産駒は芝1127勝、ダート941勝とそれほど差がない一方で、ロードカナロア産駒は芝531勝でダート235勝と、砂の勝ち星は芝の半分以下となっている。

 これらを踏まえると、ロードカナロア産駒も砂で走れなくはないが、やはり本質は芝か。レース後のSNSやネット掲示板などにもファンから「次は芝で見たい」といったコメントが多く寄せられていた。

 イストロスは5月19日の遅生まれであるため、まだ馬が幼いということもあるだろう。血統的に潜在能力は間違いないと思われるだけに、芝ダートかかわらず次戦では変わり身を見せてくれることに期待したい。

冨樫某

キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

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