世界最強馬率いるG1・14勝トリオが立ちはだかる!今年の凱旋門賞も日本馬は苦戦濃厚!?
外の気温も徐々に下がり、秋の訪れを感じられるようになってきた。あとひと月もすれば、凱旋門賞(仏G1)が開催される。これまでに27頭の日本馬が挑戦し、一様に跳ね返されてきた鬼門のレースだが、今年も4頭の日本馬が挑戦を予定している。
3頭参戦の古馬勢ではタイトルホルダー(牡4歳、美浦・栗田徹厩舎)が最右翼だ。菊花賞(G1)、天皇賞・春(G1)を制したスタミナに加え、宝塚記念(G1)でレコードタイムを記録してスピード能力も証明しており、凱旋門賞での好走に期待できそうだ。現地の前哨戦は使わず、9月半ばまで国内で調整する予定だ。
ディープボンド(牡5歳、栗東・大久保龍志厩舎)は14着に終わった昨年に続く出走となる。前哨戦のフォワ賞(仏G2)を挟んだ昨年とは異なり、直行ローテを予定している。そのフォワ賞では勝利を挙げており、馬場適性は示していただけに巻き返しを期待したい。
海外レースを果敢に狙う矢作芳人厩舎からはステイフーリッシュ(牡7歳)が出走予定だ。こちらは欧州のレースからの転戦を選択。ドーヴィル大賞(仏G2)2着を経て、本番では大金星を狙う。
唯一の3歳馬として挑むのはダービー馬ドウデュース(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。国内での最終追い切りでは鞍上の武豊に「嬉しくなるような走り」と言わしめる抜群の動きを披露した。本番と同舞台のニエル賞(仏G2)を叩いて凱旋門賞に向かう予定。古馬より3㎏軽い斤量で出られる3歳馬という観点からもチャンスはありそうだ。
このまま4頭出走となれば過去最多の頭数となり、日本勢の本気度は伝わってくるが、今年も欧州馬の高い壁が立ちはだかることは避けられそうにない。
中でも、G1・14勝トリオの3頭は主役候補だ。
今年の凱旋門賞も日本馬は苦戦濃厚!?
日本馬最大のライバルとなりそうなのはバーイード(牡4歳、英・W.ハガス厩舎)だろう。同馬はG1・6連勝中で、そのキャリアは10戦10勝と一つの傷もない。デビューから9戦はマイル路線を使ってきたが、前走で初めて中距離レース(2050m)の英インターナショナルS(英G1)に挑戦。2着馬に6馬身半差つけたパフォーマンスは世界中のファンの度肝を抜いた。ロンジンワールドベストホースランキングでも、トップのレーティング128という評価を受けており、名実ともに世界最強馬と呼んで差し支えないだろう。
出す気はないといっていた陣営だが、当初の予定を変更して凱旋門賞へ参戦する公算が高まってきており、直前で馬場の悪化さえなければ日本勢と馬体を併せる姿が見られそうだ。なお、バーイードは次戦が引退レースとなりそうで、花道を飾れるかにも注目したい。
アルピ二スタ(牝5歳、英・M.プレスコット厩舎)は牝馬のエースといえる存在だ。同馬は4歳夏に初めてG1を制すると、そこからの1年でG1タイトルを5つまで積み上げた。バーイード同様にG1連勝中で、充実期の今ならビッグタイトルが射程に入るだろう。
ブックメーカーのオッズは7倍程度で、日本馬最上位のタイトルホルダーと同じくらいの評価を受けている。
G1・14勝トリオの3番手は昨年の覇者、トルカータータッソ(牡5歳、独・M.ヴァイス厩舎)である。昨年は国内販売のオッズで14頭中13番人気という“超大穴”であったが、今年はキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1)で2着に入るなど、凱旋門賞馬に恥じない成績を残している。馬場が悪化すれば回避濃厚のバーイードと異なり、こちらは道悪が大好物だ。世界最強馬が出てこない展開では、“本命候補”になるだろう。
その他にも、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSでトルカータータッソを下して優勝したパイルドライバヴァー(牡5歳、英・W.ミューア&C.グラシック厩舎)や愛ダービー馬のウエストオーバー(牡3歳、英・R.ベケット厩舎)など、役者は揃った印象だ。
30日現在、大手ブックメーカー・ウィリアムヒルの最新オッズはご覧の通りだ。
バーイード 3.0
アルピ二スタ 7.0
タイトルホルダー 8.0
ドウデュース 11.0
トルカータータッソ 11.0
パイルドライヴァー 15.0
ウエストオーバー 21.0
ディープボンド 41.0
ステイフーリッシュ 67.0
日本馬には今年も強敵が立ちはだかることになりそうだが、相手が強ければ強いほど、勝利の価値も高まるというもの。長年の悲願を達成し、勝者として凱旋することを期待したい。