キタサンブラック産駒の大物に鞍上もゾッコン!着差以上の潜在能力を証明、デビュー前から勝利を確信?
28日、小倉競馬場で行われた5Rの2歳新馬は、鮫島克駿騎手とコンビを組んだコナコースト(牝2、栗東・清水久詞厩舎)が、1番人気に応える見事な勝利。父であるキタサンブラックを管理していた清水師にとっても価値ある1勝となった。
祖母に2004年の函館2歳Sを制したアンブロワーズのいる良血は、デビュー前の追い切りでも好時計をマーク。陣営も素質の高さを感じていた逸材でもあった。2着メテオリートとの着差はわずかにクビながら、そのレースぶりは目を見張る内容だったといえる。
母系は短距離で活躍したイメージが強いコナコーストだが、デビュー戦に選ばれたのは芝1800m戦。追い切りの段階から自信を垣間見せていた陣営だけに、中距離でデビューしたのも、来年のクラシックを意識しているのかもしれない。
実際、レースの内容もセンスの高さを十分に感じさせるものだった。
10頭立てのレースでトップスタートを見せたコナコーストだが、鞍上の鮫島駿騎手は好位をキープすることなく、あえて他馬を先に行かせて2番手の競馬。脚質の定まらない新馬戦はスローの前残りになりやすいため、出たなりの位置で進めることも珍しくない。
だが、鮫島駿騎手はむしろポジションを下げるという正反対の選択をした。
前半の600mが38秒0、1000m通過のラップも62秒のスローに落ち着いたことを考えると、この判断は末脚が不発になるリスクを伴う。それでも動かなかったことに、パートナーの能力にかなりの自信を持っていたことが伝わってくる。
その結果、勝負どころの最終コーナーでは、5番手まで下がってしまった上に、内にポッカリ空いたスペースを通らず、馬場の真ん中外目に誘導する距離のロスもありながら、追い出されてからは抜群の末脚を発揮。ゴール寸前で楽な手応えのまま差し切ってしまった。
見た目こそ派手さはないものの、道中がスローで流れていたこともあって、レースのラスト3ハロンのラップは11秒8-11秒6-11秒5の加速ラップ。前残りの展開で恩恵を受けたライバルを問題にしなかったのだから価値がある。
そこで気になるのは、なぜ鮫島駿騎手がわざわざ自ら不利になるようなリスクを冒してまでこのような騎乗をしたのかだ。どうやらレース後のコメントにそのヒントがあったらしい。
デビュー前から勝利を確信?
「調教に乗せて頂き能力を感じていたので、内容のある勝利にしたいなと思ってレースに臨みました」
この言葉からも、勝ち負け以前に勝ち方を重視していたことが分かる。
そう考えれば、危なっかしく思えた道中の位置取りも「ハナでも2番手でも行けましたが、あえて控えて逃げ馬の後ろに入れました」と作戦通り。「瞬発力が無いとできないような立ち回りでした」と振り返って見せたのも、コナコーストなら負けないという手応えがあったからにほかならないだろう。
距離の懸念も払拭する走りに陣営からは、期待の大きい馬と高評価。今年は同じキタサンブラック産駒のイクイノックスがクラシック戦線を賑わした。コナコーストのデビュー勝ちが単なる通過点だったなら、来年の春に主役を演じていたとしても不思議ではない。