オープン競走を破竹の8連勝!牡馬を圧倒する黄金世代で覚えておきたい牝馬7選!
3日、札幌11Rの札幌2歳S(G3)は1着ドゥーラ、2着ドゥアイズという牝馬のワンツーで幕を閉じた。
これで現2歳世代のオープン競走は、函館2歳S(G3)のブトンドールから数えて8レース連続で牝馬が勝利を飾った。翌日のすずらん賞で牡馬が勝利してその連勝は止まったものの、今年の2歳牝馬には期待が持てそうだ。
牝馬に注目したい今年の2~3歳戦線だが、近年3歳春のG1で活躍する馬のデビュー時期が早まっているのはご存じだろうか。特にここ2年はその傾向が顕著だ。3歳春に行われるG1・5レースで3着に入った15頭のうち、ドウデュース世代は13頭が、エフフォーリア世代は12頭が9月1週目の夏競馬開催終了までにデビューしているのだ。
これは偶然でなく、2018年をもってスーパー未勝利戦※が廃止されたことなどに影響を受けていると思われる。
実際、ノーザンファーム代表の吉田勝己氏は丸ごとPOG2020-2021のインタビューで
「2歳戦が早くなった番組に合わせてデビューし、勝っていくことがクラシックにつながります。間隔をあけながら成長を促すことができますから」と述べている。
※スーパー未勝利戦:9月に施行されていた、優先出走権を持つ馬のみが出走できた未勝利戦の通称。これが廃止され、3歳未勝利戦の終了時期が早まった。
黄金世代で覚えておきたい牝馬7選!
こうした傾向を考えると、来春を沸かせる馬の多くは既にデビューしていそうだ。
そこで本稿では、黄金世代の予感漂う2歳牝馬から特に期待の大きい既走馬を7頭ご紹介する。
ドゥーラ(栗東・高橋康之厩舎)&モリアーナ(美浦・武藤善則厩舎)
まずは、北海道で牡馬相手にオープン競走を勝利した2頭を取り上げる。
ドゥーラは前述の通り、札幌2歳Sの覇者だ。ドゥラメンテ産駒の同馬はレースセンスが高く、マイルから2400mまで対応し堅実な走りを見せてくれそうなイメージだ。
札幌2歳Sで3着以内に入った牝馬は過去10年で8頭いるが、その内ソダシ(牝4歳、栗東・須貝尚介厩舎)、ユーバーレーベン(牝4歳、美浦・手塚貴久厩舎)、レッツゴードンキ、レッドリヴェールの4頭が3歳春までにG1勝利を挙げている。ドゥーラも偉大な先輩たちに続けるか注目だ。(→3歳春「まで」ならレッツゴードンキとユーバーレーベンは該当しないです。3歳クラシックを指すならレッドリヴェールは該当しないです)
モリアーナは、2年前にサトノレイナスが勝利した6月東京芝マイルの牝馬限定新馬戦で勝ち名乗りをあげると、続くコスモス賞でも2着に2馬身差と快勝した。負かしたドゥアイズはその後、札幌2歳Sでドゥーラの1馬身差で2着に入っており、ドゥアイズとの着差ではモリアーナがドゥーラを上回った。
この2頭はともに若手騎手が主戦を務めており、相手が強くなる秋以降にどれだけ通用するかが鍵となるだろう。
(ドゥーラ:4年目斉藤新騎手、モリアーナ:6年目武藤雅騎手)
ラヴェル(栗東・矢作芳人厩舎)、エレガントルビー(栗東・森田直行厩舎)、
コンクシェル(栗東・清水久詞厩舎)、フラッシングレート(栗東・音無秀孝厩舎)
続いては、夏の小倉開催で勝ち上がった4頭を一挙紹介する。彼女たちの共通点はハイレベルレースで戦ったということだ。
1頭目のラヴェルは今年の春クラシックを盛り上げたナミュールを姉に持つ。新馬戦では出遅れてしまい後方からの競馬になったが、4コーナーでは先頭を射程に入れると、直線は素晴らしい末脚で差し切り勝ちを決めた。同レースの3、4着馬は揃って次戦で後続に2馬身半差をつけて快勝しており、ラヴェルの評価をさらに高めることとなった。
2頭目は牝馬らしい名前が印象的なエレガントルビー。同馬も昨年の大阪杯(G1)2着のモズベッロ(牡6歳、栗東・森田直行厩舎)を兄に持つ良血馬である。
新馬戦は2000mの中距離レースを選択。出入りの激しい展開でも常に好位をキープし、2着に2馬身半差をつけて勝利した。その2着馬も次のレースで楽勝を決めている。
距離が伸びても良さそうな走りからは、オークス路線が本命だろうか。
3頭目コンクシェルと4頭目フラッシングレートは同じ新馬戦でデビューした。そのレースでは12秒前後のラップが続く淡々とした展開の中、コンクシェルが直線鋭い伸びを見せて2着に2馬身、3着フラッシングレートに4馬身半の差をつけて圧勝した。
そのフラッシングレートも、2戦目の舞台に初戦と同じ小倉1800mを選択。走破タイムを1.7秒も縮め、2着と3馬身差ならばこちらも出世候補だ。父ミッキーロケットで音無厩舎所属、主戦の和田竜二も魅力。(→なぜ?)覚えておいて損のない1頭だろう。
リバティアイランド(栗東・中内田充正厩舎)
最後に登場するのは新潟開催で鮮烈なデビュー勝ちを決めて、話題をさらったリバティアイランドだ。新潟競馬場の芝外回りコースは長い直線&平坦という造りで、速い上りが出ることで知られている。だが、この馬がマークした上り3F31.4秒というタイムは流石に異次元だ。この数字は2歳馬どころか、JRA史上最速の記録(手元資料による)で、高い素質を秘めていることは間違いないだろう。
そんなリバティアイランドにとって心強いデータがもう一つ存在する。中内田厩舎に所属する牝馬の内、その世代で最初に勝ち上がった馬は近6世代中5頭が3歳春までにオープン競走で勝利しているのだ。加えてその中の4頭は2歳重賞を勝っている。※
リバティアイランドは恐らく秋の重賞レースで復帰するが、その活躍は約束されたようなものだといえそうだ。
※該当馬:ヴゼットジョリー、ベルーガ、ダノンファンタジー、リアアメリア(牝5歳)
以上が、2歳戦マニアの筆者が注目する2歳馬7頭である。
よく夏は牝馬という言葉を聞くが、今年の2歳戦はまさにそのような結果となった。そして、彼女らの世代は涼しくなってもまだまだ活躍してくれそうだ。