サトノダイヤモンド天皇賞・春も安泰!? 皐月賞ワンツーを決めた池江泰寿厩舎の「マジック」は変幻自在の適応力にあり
クラシック三冠を無敗で制し「近代競馬の結晶」と謳われたディープインパクト。だが、主戦の武豊騎手が「折り合いに不安があった」と語っていた通り、気性的には決して長距離向きとは言えなかった。
実際に「種牡馬ディープインパクト」が最も良績を残しているのがマイル戦である。
だが、同時にディープインパクトの生涯最高のパフォーマンスを問われれば、豪快なまくりを決めて圧勝した3200mの天皇賞・春を挙げる人も多い。武豊騎手はこのレース後「これ以上、強い馬がいるのか」と史上最大級の評価を与えている。
ただこの結果も、メジロマックイーンなど数多くの名ステイヤーを手掛けた池江泰郎調教師の技術力の結晶なのだろう。調教助手として父の厩舎で学んだ池江泰寿調教師は、歴史の残る名伯楽となった先人の技術をさらに進化させているのだ。
池江調教師は「馬本来の距離適性(可能性)を調教師の手によって広げる」という発想を、より具体的に実践できている数少ない調教師の1人といえる。
また、池江泰寿厩舎では「皐月賞に向かうグループ」と「日本ダービーを目標にするグループ」とが、はっきりと分かれている感がある。無論、どの厩舎でもある程度の使い分けは存在するが池江厩舎の場合、それがかなり早い段階から計画的に行われているようだ。
実際に池江厩舎から皐月賞に出走したアルアインとペルシアンナイトは「1800mからマイル」を中心に使われて、皐月賞まで「一度も2000mを経験していなかった」。
常識的には、本番と同じ距離を使っていないのはナンセンスという見方もあるだろう。