「空回り」川田将雅に漂う悲壮感……乗り替わり後の悪夢、期待の単勝1.6倍が痛恨敗戦のダブルパンチ
「ハンデ戦らしくギリギリにはなりましたが、良く勝ち切ってくれました」
11日、中山競馬場で行われた京成杯AH(G3)は、吉田隼人騎手の1番人気ファルコニアが優勝。最下位のルークズネストまで全頭がコンマ8秒差に収まる大接戦を制した。
発走前にシュリが競走除外となった13頭立て芝1600mのレース。「昨日から内枠の馬が好走していたので、スタートだけはしっかり出そうと思っていました」と振り返った鞍上の思惑通り、外目11番枠からスタートしたファルコニアは逃げたベレヌスの直後につける2番手を追走する。
その後、外から勢いよくミッキーブリランテが先頭へと追い上げファルコニアは3番手となるも、4コーナーでは絶好の手応えで最後の直線へ。しばらく内で粘っていたミッキーブリランテとの追い比べが続いたが、最後はクビ差だけ交わし重賞初勝利をゲットした。
重賞8度目の挑戦で待望の初戴冠となったファルコニア。そんな姿をデビューから主戦を務めてきた川田将雅騎手は、どのような思いで見つめていただろうか。
近2走のマイラーズC(G2)と中京記念(G3)では、いずれも手綱を取り3着に敗れていた川田騎手。今回は同期の吉田隼騎手へ乗り替わりとなった挙句、自身とのコンビで6度挑戦しても届かなかった重賞初制覇へと導かれてしまったのだから、悔しい思いもあっただろう。
また、この日は中山ではなく中京で騎乗していた川田騎手だが、重賞のセントウルS(G2)では5番人気のモントライゼと1年ぶりにコンビを組むも6着。仮にファルコニアとのコンビで京成杯AHを勝利していた場合、サマージョッキーズシリーズにおいても逆転で優勝できていただけに、逃した魚は大きかったかもしれない。
「空回り」川田将雅に漂う悲壮感…
さらに、そんな川田騎手へ追い打ちをかけたのが、最終レースで断然人気に推されたサンクフィーユでの敗戦だ。
サンクフィーユといえばデビュー戦で、同日同舞台で行われたチューリップ賞(G2)の勝ち時計にコンマ1秒差という好タイムで快勝した実力馬。デビューが遅かったことからクラシック出走は叶わなかったものの、当時ネットの掲示板やSNS等では「遅れてきた大物」と囁かれたほどの逸材である。
前走は新馬戦以来およそ4カ月ぶりの実戦を単勝1.9倍で敗れたとはいえ、今回は叩き2戦目で上積みが見込めた。前回マイナス22キロと大幅に減らしていた馬体重もプラス16キロと戻り、鞍上には継続して川田騎手を起用。ファンは再び単勝1.6倍の断然人気に支持し、必勝態勢かと思われた。
だが、悪い流れは止まらなかった。
道中は後方2番手からレースを進め、最後の直線勝負では大外を回して追い上げるも、先に抜け出したララヴォルシエルを捕らえることが出来ず、さらには自身より後方にいたスーサンアッシャーにも交わされ3着。単勝1倍台に推された2戦で、痛恨の連敗を喫した。
中山の京成杯AHの結果と共に、中京でも期待するパートナーとのコンビで敗れてしまいダブルパンチとなった川田騎手。11日終了時点で112勝を挙げ全国リーディングでトップを独走する名手も、この日ばかりは空回りな一日となってしまったようだ。