武豊ドウデュース「突きつけられた現実」に凱旋門賞制覇へ黄色信号……ニエル賞(G2)敗退からの逆転優勝はクロノジェネシスの父が最後

ドウデュース 撮影:Ruriko.I

 11日、フランスのパリロンシャン競馬場で行われたニエル賞(G2)は、地元フランスのシムカミルが優勝。日本から挑んだドウデュース(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)は4着だった。

 パリ大賞(仏G1)の勝ち馬オネストが回避したこともあって、出走7頭で唯一のG1馬だったドウデュース。それもダービー馬となれば、各ブックメーカーが日本の挑戦者を1番人気に据えるのも当然だろう。

 大外からスタートを上手く決めたドウデュースだったが、武豊騎手が折り合いを重視して馬を前における最後尾からの競馬を選択。最後の直線では馬なりのまま先頭集団に並びかける見せ場を作ったが、そこからの一押しが足りなかった。

「結果は4着でしたが、友道調教師が『目標はあくまでも凱旋門賞であり、今回は経験を積ませる事が目的』と言えば、武豊騎手も『凱旋門賞へ向けた追い切り代わりという感じだったので……』と悲観の色はまったくなさそうです。

4着と言っても5着馬は8馬身突き放していますし、優勝を争った上位陣の中で後れを取っただけのこと。本番はあくまで次。日本競馬の悲願達成へ、まずは“スクーリング”を完了したといったところでしょう」(競馬記者)

「突きつけられた現実」に凱旋門賞制覇へ黄色信号…

 だが、ドウデュースの凱旋門賞制覇に「黄色信号」が灯ったことは間違いなさそうだ。

 90年代こそ凱旋門賞馬への王道だったニエル賞だが、近10年でニエル賞と凱旋門賞を連勝した馬はおらず、3着が最高着順。最後にニエル賞から勝利したのは2006年の勝ち馬レイルリンクまで遡る。

 また、ニエル賞で敗れて凱旋門賞を逆転優勝したのは、昨年の凱旋門賞に挑んだクロノジェネシスの父としていられるバゴ(2004年)が最後。その前は1997年のパントレセレブルだ。

「メンバー的にも『勝ってほしかった』というのが個人的な感想です。この敗戦で(海外ブックメーカーの)ウィリアムヒルの凱旋門賞におけるドウデュースのオッズは11倍から21倍と評価急落……。海外の関係者からしても、拍子抜けというのが正直な感想なのでしょう。

ただ、立場は苦しくなりましたが、ドウデュースにとっては単純に本番と同条件のレースを経験できたということ以上の効果が見込めると思います。

というのも、実は7月下旬に公開されたキーファーズの公式ホームページによると、ドウデュースは日本ダービーから42kgも増えていたとのこと。この後、当初は凱旋門賞直行を予定していた陣営から、このニエル賞参戦が発表されましたが、急激な馬体増は無関係ではないと思います。

レース後、武豊騎手が『少し太いと感じた』と話していましたが、まだ絞り切れていないようですね。ニエル賞前も軽めの調整でしたし、ここからどこまで絞って本番を迎えられるかだと思います」(別の記者)

「勝てなかったのは残念ですけど、この一叩きで次は確実に変わってきてくれるでしょう」

 敗戦の後、そう前を向いた武豊騎手。前回、ニエル賞を使って凱旋門賞馬になったレイルリンクは、奇しくも武豊騎手が騎乗したディープインパクトを破って世界の壁を見せつけた馬だ。

 あれから16年、期待された前哨戦は敗れたが、日本のダービー馬にノーチャンスを突きつけるのはまだ早いはずだ。

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