横山武史「主役の春」から一転「試練の秋」へ。エフフォーリア有馬記念(G1)まで復帰せず…大舞台で「存在感なし」に拍車
16日、昨年の年度代表馬で現在休養中のエフフォーリア(牡4歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)が12月の有馬記念(G1)を目標に調整することがわかった。所属するキャロットファームが発表している。
6月の宝塚記念(G1)後、福島県のノーザンファーム天栄で調整していたエフフォーリア。当初は10月の天皇賞・秋(G1)を目標にしていたが「本来の状態ではない」と判断されたことで、現在は北海道のノーザンファーム空港で放牧されている。充電期間を終え、来週から乗り運動を再開する予定だが、戦線復帰はまだ先になりそうだ。
「昨年、皐月賞と天皇賞・秋、そして有馬記念(すべてG1)を勝つなど大活躍だったエフフォーリアですが、今年は復帰初戦の大阪杯(G1)で9着、宝塚記念で6着と、いずれも1番人気を裏切ってしまう不本意なシーズンでした。
昨年の年度代表馬ということもあって復活を願っているファンも多いと思いますが、やや雲行きが怪しくなってきた印象です。これだけの馬ですし、父エピファネイアの後継種牡馬がいないことからも、このまま無理せず引退という可能性もあると思います」(競馬記者)
昨年はアーモンドアイやコントレイル、クロノジェネシス、ラヴズオンリーユーといった競馬界を代表する名馬が相次いで引退。新時代の幕開けといえる2022年で、その中心的存在と期待されていたのが新王者のエフフォーリアだった。
それだけに多くのファンが復帰を待ち望んでいるが、それ以上に寂しい思いをしているのが、主戦の横山武史騎手かもしれない。
昨年、エフフォーリアと主に大ブレイクを果たした5年目の横山武騎手。主戦騎手として皐月賞でG1初制覇を飾ると、タイトルホルダーやキラーアビリティとのコンビでもビッグレースを制して年間G1・5勝。デビュー4年間で重賞1勝だった若手騎手が、昨年だけで重賞9勝を挙げる大活躍だった。
その勢いは今年も継続しており、現在95勝を挙げてリーディング2位。自己ベストだった昨年の104勝を上回ることは確実で、次代を担うトップジョッキーとしての地位を着々と確立している印象だ。
大舞台で「存在感なし」に拍車…
しかし、一方でその存在感は「昨年に遠く及ばない」と言わざるを得ない。何故なら、肝心の大舞台で結果が出ていないからだ。
先週の紫苑S(G3)でサウンドビバーチェを2着に導き、秋華賞(G1)の優先出走権の確保に成功するなど、改めて勝負強さを見せた横山武騎手。しかし、その翌日の京成杯オータムH(G3)では2番人気のダーリントンホールで12着に沈むなど、重賞で結果が出ていない。
最後の勝利は3月のチューリップ賞(G2)であり、それが今年唯一の重賞勝利だ。
「昨年の大ブレイクもあって、この春は『武史の春になる』と言われていました。というのも、お手馬のエフフォーリアを筆頭にG1で騎乗するラインナップが、C.ルメール騎手や川田将雅騎手といったトップジョッキー以上に豪華だったからです。
しかし結局、1勝もできずに春を終えて、夏の重賞でも勝ち星に恵まれないまま秋競馬を迎えています。大きなレースも増えてきますし、そろそろ調子を上げていきたいところですが……」(同)
記者が話す通り、この春のG1戦線では高松宮記念(G1)、大阪杯(G1)、桜花賞(G1)と開幕から3戦連続で1番人気に支持された横山武騎手。しかし、最高着順が6着という散々な結果に終わっている。
特に大阪杯で単勝1.5倍に推されたエフフォーリアの9着惨敗は、年度代表馬コンビの失速ぶりを象徴するようなレースだった。
「ノーザンファームを中心に強力なバックアップがある横山武騎手ですから、勝ち星の方は順調に伸びています。ただ、現在は代打騎乗が多く“便利屋”のような扱いもされており、決してその地位が万全というわけではありません。
今は重賞でも乗り替わりなどで馬が集まってきますが、あまり大舞台で結果が出ないと関係者から見切りをつけられる可能性も……。昨年の大活躍でトップジョッキーの仲間入りをした若手だけに、その地位を固めている今は本当に大事な時期。頑張ってほしいですね」(別の記者)
最愛のエフフォーリアが年末まで復帰しないことが決定的となった横山武騎手だが、春のG1戦線を共に戦ったレシステンシア、キラーアビリティといったところも未だ次走の発表がない。
主役と目された春から一転、試練の秋となるかもしれない。