JRA「史上最大着差」で圧勝に松山弘平も大絶賛! ダービー馬ワグネリアンに続く逸材はデータで見ても「重賞確勝級」
18日、中京5Rの新馬戦でハーツコンチェルト(牡2歳、美浦・武井亮厩舎)が勝利。単勝1.9倍の圧倒的人気に推された注目馬の勝ちっぷりは、実に鮮やかであった。
スタート直後は折り合いに専念し、後方でレースを進める。だが、ペースが遅いとみるやポジションを押し上げて前から4番手で直線を迎えた。勝負所の手応えは終始楽で、ラスト200mを前に先頭へ立つと、その後は馬なりで流す余裕を見せながら2着に8馬身差をつける圧勝劇を披露してみせた。
鞍上を務めた松山弘平騎手は、レース後に「まだ成長するだろうし、今の時点でこれだけのポテンシャル。これからが楽しみです」と、ハーツコンチェルトのセンスと能力を高く評価した。
そんな目に見えて強い競馬をしたハーツコンチェルトだが、数字の観点からも明るい未来が待っていそうだ。同馬のポテンシャルの裏付けになりそうなデータを2つご紹介する。
データで見ても「重賞確勝級」
まずは、中京競馬場の芝2000m・2歳新馬戦を上がり3F33.9以内で勝利した馬についてのデータだ。ちなみに、ハーツコンチェルトの上り3Fタイムは33.9秒だった。
この条件に該当するのはワグネリアン、ステイフーリッシュ、オープンファイアの3頭のみ。先の2頭は言わずと知れた活躍馬である。
オープンファイアは先週の新馬戦を制した馬で今後の活躍は未知数だが、ハーツコンチェルトより勝ち時計が4.2秒も遅く、数字面では後者が圧倒的に優秀だ。
2つ目は着差に関してのデータだ。今回ハーツコンチェルトが2着馬につけた1.3秒差は、芝2000m以上の2歳新馬戦で“史上最大”である。
未勝利戦まで対象を広げると、芝2000m以上のレースで2着馬に1.0秒以上差をつけた馬は16頭が該当。キラーアビリティ(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)やパンサラッサ(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)など、その内7頭は後に重賞を制している。
特に、逃げずに同条件をマークした馬は10頭中6頭が重賞勝ちとなっており、ハーツコンチェルトには心強いデータだ。
以上のデータをまとめると、前者は重賞勝ち率100%(2/2)、後者は60%(6/10)と、かなり確度の高い数字であることが分かって頂けるだろう。
ハーツコンチェルトの母ナスノシベリウスは、武井師が助手時代に所属した和田正道厩舎で調教をつけたゆかりの馬だ。その縁もあって母の仔は全て武井厩舎に入厩しており、これまでデビューした5頭は全て勝ち上がっている。
武井師はハーツコンチェルトのデビュー前に「僕が今まで携わった全ての馬の中でも、トップクラスと言っていいかもしれません」と大きな自信を見せており、堅実な母の仔の中でも一味違う素質を見せていたようだ。
また、新馬戦後には同馬を所有するグリーンファームのホームページで、次走は東京スポーツ杯2歳S(G2)を目指すことが発表された。
リエノテソーロでのNHKマイルC(G1)2着などがあるものの、中央競馬の重賞は未だ0勝の武井厩舎に現れた「重賞確勝級」の逸材。クラシック戦線でも注目すべき存在になっていきそうだ。