天皇賞・秋「被害者」C.ルメールの次は福永祐一!? 忘れられない8年前の屈辱
日本を代表するトップジョッキーの一人である福永祐一騎手だが、最近はちょっとしたスランプに陥っているようだ。
フライライクバードに騎乗した先週末のオールカマー(G2)では、見せ場なくに9着に敗れた。今回騎乗した同馬が10番人気の伏兵だったとはいえ、勝ち馬のジェラルディーナは、前走まで自身が主戦を任されていたお手馬だった。
それまで重賞で惜敗していたパートナーが、横山武史騎手に乗り替わった途端にあっさりと勝利。乗り方や癖について、福永騎手のアドバイスが生きた可能性もあるとはいえ、ネットの掲示板やSNSでは、一部のファンから横山武騎手の好騎乗を“鞍上強化”と称賛する声も聞かれた。
これには福永騎手も思うところがあるだろうが、そう評されてもやむを得ない背景もある。何しろ今年の重賞は4月に皐月賞(G1)をジオグリフで制したのを最後に20連敗。気が付けば、5か月以上も重賞勝利から遠ざかっていることになる。フェブラリーS(G1)をカフェラオで勝利し、G1・2勝を挙げた春の好調ぶりは、すっかり影を潜めてしまった。
また、距離適性を考慮して菊花賞(G1)を回避したジオグリフが、3年ぶりに来日するC.スミヨン騎手とのコンビで天皇賞・秋(G1)に出走することも分かった。ジオグリフとは、春のクラシックでコンビを組んだが、このレースにはシャフリヤールも出走を予定しており、おそらくこちらに乗るのだろう。
だがこの乗り替わりは、重賞連敗の続く福永騎手にとって、歓迎できないサインとなるかもしれない。なぜなら春に挙げたG1・2勝は、C.ルメール騎手からの乗り替わりがもたらしたものだったからだ。今回は自身が春のルメール騎手のような立場になりかねない。
ジオグリフと新たにコンビを組むスミヨン騎手は、過去に天皇賞・秋でブエナビスタ、エリザベス女王杯(G1)でラッキーライラックを勝利に導いた名手である。
短期免許の期間について天皇賞・秋以降は、香港国際競走に参加する以外、有馬記念(G1)まで日本で騎乗する予定とのこと。有力馬を多数抱えるノーザンファームの全面的なバックアップが見込まれる“黒船”の来日は、福永騎手だけでなく他のトップジョッキーにも多大な影響を与えることは明白だ。
忘れられない8年前の屈辱
2014年のジャパンC(G1)では、乗り難しいとされたエピファネイアで圧勝し、世界トップクラスの手腕を披露した過去もある。そして、その姿を4馬身離された2着ジャスタウェイの背から見ていたのが、他ならぬ福永騎手だったのだ。
後日、当時のことを「あそこまで強いと思っていなかった」と振り返ったものの、自分の乗りこなせなかった馬を、初騎乗の相手が完璧なまでに乗ったのだから、これ以上ない屈辱だったはずである。
福永騎手がジオグリフの乗り替わりを「よりによってあのスミヨンか」と思ったかどうかは分からないが、ただでさえ因縁のあるスミヨン騎手だけに、絶対に負けたくない相手だろう。
これが巻き返しを期す秋のG1シリーズに向けて、思わぬ伏線とならなければいいのだが……。