快進撃の松山弘平に「恋敵」が緊急参戦、相思相愛コンビに早くも別れの予感

サリオス 撮影:Ruriko.I

 先週末の3日間開催は、松山弘平騎手が独り勝ち。日曜東京の毎日王冠(G2)をサリオス、月曜阪神の京都大賞典(G2)をヴェラアズールとのコンビで連日の重賞制覇をやってのけた。

 印象的だったのは、関東の名門・堀宣行厩舎の管理馬で日曜の準メインから連勝を決めていることだ。

 関西の騎手と関東の調教師ということもあり、以前はそれほど親密な関係ではなかった両者だが、2020年頃から急接近した。ヒシイグアスの重賞2勝を含む3連勝で信頼を勝ち取ったのを契機に昨年から騎乗依頼が急増。外国人騎手を優先する傾向の強い堀師が、厩舎の看板馬サリオスの手綱を松山騎手に任せているほどである。

 ただ、今や堀厩舎の勝負騎手といっても過言ではない松山騎手だが、サリオスでは思うような結果を残せていなかった。

「この馬に乗せていただいてから、結果を出すことが出来ませんでしたが、馬が頑張ってくれて、良い結果を出せました」

 これは毎日王冠のレース後に松山騎手が残したコメントだが、本人も気にしていたことが伝わる内容だ。レース前には「堀先生から自信を持って乗るように」と激励されていたようだが、松山騎手もこの勝利で溜飲の下がる思いだったに違いない。

松山弘平騎手「恋敵」が緊急参戦

 前哨戦の毎日王冠を快勝したことにより、これまで以上に強い絆で結びついた両者ではあるが、先日明らかになったD.レーン騎手の来日は大きな影響を与えそうだ。

 当初はC.スミヨン騎手が短期免許で来日する予定だったが、レース中に他の騎手を肘打ちで落馬させたため、2か月間の騎乗停止処分が下された。そこで代役として白羽の矢が立ったのがレーン騎手だ。

 期間は1ヶ月と短いものの、エリザベス女王杯、マイルCS、ジャパンC、チャンピオンズCなどのG1が目白押し。おそらく身元引受調教師は、これまで同様に堀師だろう。マイルからスプリントの転戦に失敗したサリオスだけに、天皇賞・秋(G1)を視野に入れることも考えられなくはないが、最有力と見られているのはやはりマイルCSだ。

 実際、レーン騎手とサリオスのコンビは好相性。外国人騎手を優先する傾向にある堀師だけに、再びレーン騎手を起用する可能性が非常に高い。そうなると、コンビ初勝利で自信を深めた松山騎手としては、“相思相愛”の仲に割り込んだ恋敵に胸中複雑といったところか。

 ただ、今秋の松山騎手が絶好調なのも確か。近年はリーディング上位の常連まで成長し、着実に地盤を固めつつある。この勢いで結果を残し続ければ、外国人騎手の来日に左右されないポジションに到達する日もそう遠くはないかもしれない。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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