武豊「反撃の秋」に強力援軍!? 秋華賞(G1)距離不安説を覆す藤田伸二氏の金言とは

 16日、阪神競馬場では3歳牝馬の三冠最終戦、秋華賞(G1)が行われる。2年前に始まった京都競馬場の改修工事に伴い、2年連続で阪神芝2000mが舞台となる。

 12日午後現在、『netkeiba.com』の予想オッズでは、二冠馬のスターズオンアースが2.1倍で1番人気。これをオークス(G1)2~3着馬のスタニングローズとナミュール、さらにローズS(G2)覇者アートハウスを加えた3頭が追いかける構図となっている。

 単勝予想オッズ10倍以下はこの4頭だけで、5番人気以下はすべて20倍台以上。すなわち今年の秋華賞はスターズオンアースを中心とした4強の争いといっていいだろう。

 秋華賞で春の実績馬が主役を務めるのは何も今年に限ったことではない。牡馬三冠が2000→2400→3000mと、順番に距離が延びるのに対し、牝馬三冠は1600→2400→2000mとやや特殊な設定。距離が桜花賞(G1)とオークスのちょうど中間なら、やはり春の牝馬クラシックレース好走組が中心になるのは必然ともいえる。

ウォーターナビレラ 撮影:Ruriko.I

 そこで思い出したいのが桜花賞で2着に好走したウォーターナビレラ(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)の存在だ。

前走のクイーンSで評価を大きく落とすが…

 桜花賞までは間違いなく世代牝馬の中でも屈指の存在だったウォーターナビレラだが、オークスで13着に大敗。さらに名誉挽回を期した前走のクイーンS(G3)でも1番人気を裏切る10着に敗れ、評価を大きく落としている。

 ただし、オークスは4ハロンの距離延長に加え、他馬が放馬した影響で発走時間が大幅に遅れたことも大きかった。後に鞍上の武豊騎手も自身のオフィシャルサイト日記に「極限に張り詰めた状態で15分のスタート待ち」「レース後に軽度の熱中症が見られた」と敗因が複数あったことを綴っている。

 また、よもやの10着に終わった前走についても、武騎手は「追い出してから反応がなくなってしまった内容にはいまでも首をひねっています。距離の壁? 思いあたることはありませんが、結果的にということはあるのかも」(公式日記より)と、オークスに続く2桁着順の敗因として距離適性への不安も感じたようだ。

 もし武騎手の仮説通り、ウォーターナビレラに距離の壁があるとすれば、クイーンSから1ハロン延びる2000mは大きなマイナス材料になり得るだろう。そこで注目したいのが阪神芝2000mのコース設定だ。

 正面スタンド前に設置されたゲートを出るとすぐに急坂があるため、極端なハイペースにはなりにくい特徴を持つこのコース。実際に昨年は、人気薄のエイシンヒテンが前半3ハロン36秒6で逃げ、4着に粘り込むほどG1としてはスローな流れだった。先行脚質のウォーターナビレラにとってはレースプランを組み立てやすいコースのはずだ。

 また以前、元JRA騎手の藤田伸二氏が自身のYouTube「藤田伸二チャンネル」で、現役時代の経験を基に阪神芝2000mの特徴に言及する場面があった。

 この話題が出たのは同コースで行われた今春の大阪杯(G1)を振り返った動画内でのこと(4月4日公開)。「阪神や京都のコーナーを4回まわる2000mっていうのは俺に言わせたら短距離なんですよ」「(外回りの)1600mと(内回りの)2000mはほとんど変わらない」と藤田氏は持論を述べている。

 特にクラスが上がれば上がるほど「中距離ではなく、短距離に近い感覚」とも語っていて、阪神内回りの2000mは中長距離馬よりも軽快なスピードを武器にするマイラーが活躍する舞台であると力説していた。

 春と秋で開催時期の違いはあれど、藤田氏の言葉通りならメンバー屈指の短距離実績を誇るウォーターナビレラを軽視するわけにはいかないだろう。好走実績がある阪神で桜花賞のリベンジを果たすシーンまであり得るのではないか。今週末は忘れたころの武騎手の一発に期待してみたい。

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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