横山武史VS和生がドゥラメンテ巡る兄弟対決、タイトルホルダーに続くのはどっち

 23日の阪神競馬場では牡馬クラシック三冠の掉尾を飾る菊花賞(G1)が行われる。今年は、春二冠で上位に入ったトップクラスが別路線を歩んだこともあり、G1勝ち実績のある馬の出走はなし。どの馬にもチャンスがありそうな大混戦の様相を呈している。

 クラシック連対馬の出走すらない65年ぶりの珍事といわれているように、乱菊濃厚なメンバー構成だが、タイトルホルダーの優勝した昨年も皐月賞馬、ダービー馬揃って不在の混戦だったことは記憶に新しい。

 同馬の父であるドゥラメンテは、2015年の春二冠で圧倒的な強さを見せて勝利。主戦を任されていたM.デムーロ騎手からも「今まで乗った中で一番強い」と評価されたほどの大物である。

 武豊騎手とのコンビで活躍した後の七冠馬キタサンブラックも、ドゥラメンテと同世代だったが、これだけのスターホースでさえ、3度の直接対決で一度も先着することが出来なかった相手だった。

 ダービー後にドゥラメンテの骨折が判明したため、天敵が不在となった菊花賞を制したキタサンブラックだが、もし「幻の三冠馬」といわれたドゥラメンテが無事に出走していれば、苦戦を強いられていた可能性が非常に高かっただろう。

 父キングカメハメハの血統や気性面から長距離適性を不安視する声も出ていたドゥラメンテだが、菊花賞のみならず天皇賞・春(G1)も楽勝したタイトルホルダーの活躍を考えると杞憂だったように思える。勿論、タイトルホルダー自身の成長力やポテンシャルも理由として大きいだろうが、菊花賞勝利が素質開花のきっかけとなったことは間違いない。

 そういう意味では、今年の菊花賞に出走を予定しているドゥラメンテ産駒の2頭も、現役最強馬にまで上り詰めた先輩の後継争いに名乗りを上げても不思議ではないはずだ。

横山武史騎手VS和生騎手がドゥラメンテ巡る兄弟対決

 そしてこれは横山和生、武史両騎手の兄弟対決としても興味深い一戦となる。

 長男・和生騎手がコンビを組むディナースタ(牡3、栗東・辻野泰之厩舎)は、夏の札幌で2連勝した注目の上がり馬。いずれも芝2600m戦を後方からマクっての快勝であり、距離延長を味方に変わり身を見せたこともステイヤーとしての資質を感じられる走りだった。本馬を所有するノルマンディーサラブレッドレーシングは、岡田スタッド代表・岡田牧雄氏が創設したクラブ法人。「チームタイトルホルダー」の連覇にも期待が懸かる。

ドゥラドーレス 撮影:Ruriko.I

 対する三男の武史騎手がコンビを組むのは、未完の大器と噂されるドゥラドーレス(牡3、美浦・宮田敬介厩舎)だ。

 デビュー2戦を圧勝して臨んだ毎日杯(G3)から日本ダービー(G1)の出走を目指すも、結果的に前残りに終わったレースを後方から外を回しただけでなく、直線でもスムーズさを欠いての敗戦。騎乗していた戸崎圭太騎手もレース後に「力は証明できましたが、人気に応えることができず、申し訳ありません」と謝罪したほどでもあった。

 ダービー挑戦の夢を絶たれたことにより、一時は春全休も噂されたものの、安田記念(G1)当日のホンコンジョッキークラブT(2勝クラス)で確勝を期すも、今度は乗り替わった福永祐一騎手が、1000m通過63秒6の超スローペースに脚を余す格好で3着。ダービー馬候補の1頭に数えられた馬としては、不本意な春を過ごすこととなった。

 とはいえ、8月札幌の藻岩山特別(2勝クラス)では、新たにコンビを結成した武史騎手が息の合った好騎乗で2馬身半差の圧勝を決めた。距離を不安視する声も出ているが、母系には1996年の菊花賞馬ダンスインザダークとディープインパクトの母ウインドインハーヘアも入っているなら杞憂だろう。遅れて来た大物候補が本領を発揮するには、絶好の舞台といえるのではないか。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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